2019年 12月 13日 (金)

組織が「不正」を起こすとき メルシャン報告書を読む(下)

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   メルシャン不正会計事件の主犯格は、報告書に「甲」と書かれている46歳の元水産飼料事業部長と見られる。事件の背景には何があったのか。「組織不正が起きやすい条件」とともに、日本公認不正検査士協会(ACFE JAPAN)理事の甘粕潔氏に話を聞いた。

会社への甘えや恨みが不正を後押し

個人と組織の両面の問題がある
個人と組織の両面の問題がある

   メルシャンから公開された「社内報告書」には、不正の手口とともに、元水産飼料事業部長が「利益が足りない」と強く圧力をかけたなど、いくつかの発言も引用されている。

   甲氏は1987年に入社し、水産飼料事業部に配属された。かつては事業部の主力商品を開発したこともあったという。長年にわたって事業部長を務めていたが、08年4月、本社の飼料品質管理部長に異動を命ぜられる。

   しかし甲氏は、その後も本社には1カ月に数日しかおもむかず、事業部と同じ建物内にある合弁会社の事務所に居座り、引き続き事業部に強い影響力を及ぼし続けたという。09年には、事業部との合併先の有力候補である取引会社への出向を果たしている。

   甘粕氏は報告書の記述から、不正の「動機」となる要素が読み取れるという。

   それは、彼が事業部の発展に功績を残してきたという「自負」と、手塩にかけた事業部を傍流として軽んじ、異動によって自分をそこから引き離した会社への「仕返し」の感情、自分の影響力を失いたくないという「保身」の欲望だ。

「キリン傘下入りで、事業部の存続が危うくなったプレッシャーもあったかもしれません。しかし手口から見て、不正は部下を守る気持ちからではなく、自分の地位や権力への執着心が引き起こした側面が強いように思えます。これは全くの推測ですが、事業部内のコントロールが麻痺した中で、甲氏に少なからぬカネが流れ込んでいたとしても不思議ではありません」

   また、不正をしてもよいと後押しする「正当化」の要素もあったと甘粕氏は指摘する。

「この事業部はオレが育てた、だから思い通りにしていいというおごりが生じたのでしょうね。これまで持ちつ持たれつでやってきた親密な取引先を助けるには、仕方がないと考えたのでしょう。『仕事はキレイごとではすまない』といった現場特有の甘えの風土や、会社に対する恨みの感情も、不正を後押しする大きな要因になったと思います」
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