2024年 4月 20日 (土)

熟年女性狙う詐欺電話 「息子さんと交際している者ですが…」

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   「最近ね、ケータイにセールスの電話がかかってきて困ってるのよ」。喫茶店でそう話すのは、60代の主婦A子さん。「私のところには、振り込め詐欺の電話が多くって」。A子さんと同年代のB子さんも応じます。

   セールスは、マンションや株、お墓、霊園、ソーラー発電、屋根や壁の耐震工事などの勧誘なのだとか。

「この歳になってお墓とか霊園とか縁起でもない。それが、朝の10時ぐらいからお昼ぐらいまでに集中してかかってくるのね。まあ、そんなに忙しい時間帯じゃないんだけど、だからこそうっかり出ちゃって、いちいち断るのも面倒なのよねぇ」

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「親はつい名前を言っちゃう」

   反対に、振り込め詐欺の電話は午後の3時ぐらいにくることが多いのだとか。

   振り込め詐欺というと、以前は「オレオレ詐欺」と呼ばれていたことから、男性による犯行と思っていました。ところが、B子さんによれば、女性の声でかかってくることも珍しくなくなっているようです。

「息子さんと交際している者ですが、なんて言ってくるのね。婚約してたり紹介されてたりするならまだしも、付き合っているだけの相手なんて普通は知らないじゃない。巧妙だと思うのは、『息子さん』って言われると、『あ、太郎の?』みたいに親はつい名前を言っちゃうのね。兄弟だったら、『え、太郎ですか、次郎ですか?』っていうふうに。
後から思えば、それで家族の名前がバレちゃって、相手に余計な情報を教えてしまうことになるんだけど。でも、電話帳に載っている固定電話じゃなくて、ケータイにかけてきているんだから、息子から番号を聞いたに違いないって勝手に思い込んじゃってるから、こっちは」

   そこからの手順も、最近では少々手が込んできている様子です。

   事故に遭ってケータイが壊れてしまい、代わりにかけているなどと言って信用させ、住所や名前を言わせる。また書け直すなどと告げ、1時間ほど時間をおいてからお金が必要だと振り込みを要求したり、代理で取りに行くなどと言うそうです。

「2回目の電話の時に、どこで事故に遭ったんですかって聞くと千葉だっていうから、それでウソだってわかったのね。ウチの息子は神奈川の会社に勤めていて、しかも経理で内勤だから、千葉に行く用事なんて会社ではないはずなのよ。
あなた、ウソでしょうって言ったら、いきなり電話を切っちゃった。息子さんと交際していますって言って、ウチは娘しかいませんなんて返されても、ああやっていきなり切っちゃうんでしょうね」

「資源ゴミの日に本をあさっている人は…」

   それにしても、とA子さん。「私たちオバサンのケータイの番号なんて、どこでわかっちゃうのか しら?」。

   可能性としては、いろいろ考えられます。自動生成した番号やわかっている番号の末尾を順番に変えてかけているだけ、ということもありえるっちゃ、ありえます。

   ただ、セールスの勧誘でそんな非効率なことはしないでしょうから、やはりリストが漏れていて、セールス用に転売されたり、詐欺に悪用されていると考えるのがスジでしょう。

   有名なのは、多重債務者や1回振り込め詐欺にひっかかった人たちのリストですが、A子さんもB子さんもフツーのオバサン主婦。ショップ経営が行き詰まってマチ金から高利の金をツマんだ、というような経験はありません。

   もちろん、不心得者が業務上で知ったり、入手した情報をリスト化して横流ししているといったケースも、昔からよく聞きます。

   「思い当たるとすれば、同窓会名簿かしら。古いのがたまると捨てちゃうんだけど、あれにケータイの番号を載せてる人、多いし」とB子さんが言えば、A子さんも、

「資源ゴミの日に本とかあさってる人が時々いるけど、そういう人が同窓会名簿を見つけて売っちゃうのかしらね。連絡先が変わったり、亡くなる人もいるから、確かに同窓会名簿って3年とか5年とかとっておくけど、たまるとまとめて捨てるもんねぇ」

   そのセンは十分にありそう。なかには、経済的な事情や小遣い稼ぎのつもりで、意図的に名簿を売っちゃってる人もいるのでは…?

   個人情報に直結するものは、なんであれ迂闊に捨てられない。もはや、今の時代の常識となってしまいました。

井上トシユキ


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井上トシユキ
1964年、京都市出身。同志社大学文学部卒業(1989)。会社員を経て、1998年よりジャーナリスト、ライター。東海テレビ「ぴーかんテレビ」金曜日コメンテーター。著書は「カネと野望のインターネット10年史 IT革命の裏を紐解く」(扶桑社新書)、「2ちゃんねる宣言 挑発するメディア」(文藝春秋)など。
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