2024年 4月 20日 (土)

アラサー女性が「テレアポ成功率」を3倍に上げた方法

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   銀行時代、本部で現場の個人営業の推進管理をするセクションにいたときの話です。ある会議で、グループ会社のH社の保険販売セクションで、テレアポ(電話で訪問アポイントを取り付ける)担当のヒット率がものすごく高い件が話題になりました。

   出席者は口々に「女性か。さぞや色っぽいんだろう?」「顔が見えないから、声で得してるんだな」などと、今ならセクハラまがいと批判されそうなやり取りに終始し、「どんなやり方をしているのだろう」と真剣に議論することはありませんでした。

「色っぽい声色」の武器は必要なかった

うまくいく理由は、やっぱり存在した
うまくいく理由は、やっぱり存在した

   ある時、H社にお邪魔して、社長から「保険販売が急成長している」という話を聞きました。そして「うちのMVP」と紹介されたのが、テレアポ担当のAさんでした。私は以前の話を思い出し、「ぜひ詳しく話を聞きたい」と申し出ました。

   Aさんは、渉外担当者に代わって新規リストアップ先に電話し、訪問アポ取りをするのが仕事でした。30前後の落ちつきのある女性で、色っぽいとか声色が可愛いとか、武器になりそうなことも特にはありません。

   「何かコツがあるんですか?」と聞くと、「一生懸命アポを取ろうとやっているだけです」と言うばかり。そこで無理を言って、電話のやりとりをヘッドフォンで聞きながら10件ほど同席させてもらう事にしました。すると「なるほど」と思う点がいくつもあったのです。

   お客さまのとの会話の流れは、次の通りでした。

(1)「□□保険の販売代理店をしております、株式会社HのAと申します。本日はよりよい○○をお考えの会社様に、お役に立てる商品のご案内でお電話をさせていただきました。今2分ほどお時間よろしいですか?」→ここで「保険は決まった先がある」「忙しい」との断りは4件でした。
(2)「B社様では○○の件(税務に関わること)で、多少なりともお悩みではございませんか?」→ここで「ない」との断りは2件でした。
(3)「では、○○に関する具体的事例を含めました資料を、C様宛送付させていただけますか?」→ここで断られたのは0件でした。
(4)「では、C様宛資料を送らせていただきますので、手前どもの担当者を20分ほど説明にうかがわせてください。来週水曜日の午前中、または木曜日の午後はご都合いかがですか?」→ここで「まず送られた資料を見てから」との断りは2件でした。

「いつがよろしいですか?」では全然ダメ

   先方の担当者につながった10件のうち、アポが取れたのは2件。全く面識のない新規先にいきなりアポ入れして、打率2割。普段も「資料を見てから」という人へのアポイント確認を含め、だいたい2~3割とのことですから、かなりのヒット率です。

   Aさんのアポ取りのポイントは3つ。1つ目は「要件をコンパクトに伝えること」。

   私もテレアポ取りした時に覚えがあるのですが、“前フリ”が長ければ長いほど切られる確率が高いです。彼女の(1)の語り口はごく手短で、約10秒。無理な粘りはせず、「NO」が出されたら即終了。これも効率性からは大切です。

   2つ目は、「商品説明は一切せず、アポ取りに徹すること」。

   簡単に答えられる質問を投げかけ、こちらのペースで本題にステップさせていくこと。具体的な商品説明やセールスをしようとすればするほど、相手に考える機会を与えることになり、「けっこうです」「今忙しいから」と断られる確率が高くなります。

   極めつけは3つ目の、「受け入れやすい条件を提示すること」。

   まず「2分ほどお時間よろしいですか?」の部分。まぁ聞いてもいいかと思わせる時間設定。ここでYesをもらえれば、それを前提に話が許されたことなります。実際、すべてのステップを2~3分ですませていました。

   さらにアポ取りでは「20分ほど説明にうかがわせてください」と切り出し、断る間もなく「来週水曜日の午前中または木曜日の午後は・・・」と2択を迫る。私も「説明にうかがわせていただけませんか?」「いつがよろしいですか?」と質問したがために、何度断られたことか。

別の業種でも応用できた

   「Yes→Yes→Yes」で、相手をYesペースに巻き込むアポ取り。担当者が個別に直接アポ取りをしていた頃は、成功率はせいぜい1割弱だったといいますから、Aさんは彼らの2倍から3倍の確率でアポ取りができているのです。

   「やはりコツは存在した」と私は思いました。このコツは、クロージングなどへの応用も効くやり方であると思います。

   余談ですが、ある時、営業部隊のアポ取り効率の悪さを嘆きながら「新規営業の宿命」とあきらめていたPC管理サービス会社の社長に、この話を耳打ちして簡単なスクリプトを作ってあげました。

   社長は初心者の女性テレアポ要員を採用して訓練したところ、アポ取り率がやはり従来の2倍以上に上がったと喜んでもらいました。このコツは他社にも有効でした。

   どんなことでも人並み以上の実績をあげている人がいたら、「なるほど」「すごいね」で済まさずに、できる限り「なぜ」と問いかけ、「聞く」「見る」「調べる」をしてみることです。自分にも役立つ意外な「コツ」が必ずあるものです。

※営業を中心としたお仕事の悩みについて、筆者がお答えします。

大関 暁夫

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大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。執筆にあたり若手ビジネスマンを中心に仕事中の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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