2019年 11月 23日 (土)

公務員宿舎がこっそり建て続けられるワケ

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   埼玉・朝霞市に建設中の公務員宿舎をめぐって、政府の議論が二転三転している。09年の事業仕分けで議題となってから足かけ3年、とりあえずは「5年間の凍結」という形で先送りされたようだが、そのうち折を見て建設再開されるはずだ。

   もともとは周辺の宿舎を統廃合して効率化するのが理由だそうだが、それなら宿舎自体を全廃するのがもっとも効率的なはず。一連の経緯からは、彼らの宿舎に対する強いこだわりが感じられる。

   彼ら公務員が、宿舎にこだわる理由とは何か。そして、なぜ議論は二転三転したのか。いい機会なので、社宅全般について考えてみたい。

平均給与額に反映されない「隠れ給与」

   もともと社宅というのは、会社側が労組との交渉の中で、福利厚生の一環として提供するようになったもので、企業からすれば人件費コストの一部に過ぎない。日本の賃金は一度上げてしまうと中々下げられないので、こういう給与外のサービスという形で支払っておくのが、労使ともいろいろと都合が良かったのだ。

   結果、高度成長期以降、体力のある大手を中心に、社宅は普及していくことになる。

   当然、バブル崩壊後はこの流れは逆転した。2000年以降、社宅を統廃合した企業は実に58.5%に上る(労務行政研究所調査)。デフレにも関わらず賃金が固定化される日本に置いて、社宅をはじめとする福利厚生費の削減は、実質的な賃下げという位置づけなのだ。

   労組の側も、社宅を新しく作るくらいなら昇給やボーナスに上乗せしてくれという要求を出すところがほとんどだ。そうすれば、独身者が既婚社員の社宅コストを負担するという不公平も解消できる。

   では、なぜ公務員だけは、今もせっせと“社宅”を作り続けるのか。それは、社宅が平均給与額に反映されない実質的な隠れ給与だからだ。

   これだけ公務員人件費に対する風当たりが強い中、平均賃金に反映されずに住宅費という大きな支出をカバーできる官舎の存在は、彼らにとって救世主のようなものだろう。同じく受信料という国民負担で支えられているNHK職員の社宅がやたら豪華なのも、同じ理由だと思われる。

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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