2024年 4月 18日 (木)

仕事中にフェイスブックを使っている社員がいるらしい

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   昔と比べて、いまの職場には「仕事の邪魔になるもの」が多いと感じている人もいるのでは。特にパソコンは業務に不可欠だが、気を散らせるウェブサービスの入り口にもなっている。

   パソコンの前に座っている姿だけでは、仕事をしているのか遊んでいるのか、ひとめで判断がつかない場合もある。ある会社では、仕事中にフェイスブックに長時間アクセスし、仕事がおろそかになっている社員が現れているようだ。

「俺はやらない」と言ったのが油断招いたか

――中堅広告代理店の営業部長です。先日、部の懇親会で部下たちから「部長はフェイスブックとかやらないんですか?」と尋ねられました。

   私は以前登録したものの、好きになれそうになかったので、すでにアカウントを削除しており、今後も再登録するつもりはないと答えました。

   部下たちは残念そうでしたが、

「俺はもうそういうのはやらない。若い人たちで楽しめばいいんじゃないか?」

と答えておきました。

   その言い方が油断を招いたのか、部下たちは休憩中も嬉々としてフェイスブックの話で盛り上がっています。それだけでなく、話しぶりからして仕事中もフェイスブックに長時間アクセスしている者がいるようなのです。私の席から目の届かない席にいるグループが、特に怪しい気がします。

   席に近づいて画面を確認し、現場を押さえて注意したいのですが、すぐに気づかれて仕事モードに切り替えられてしまいます。かといって、いまさらアカウントを作って監視しようとしても、書き込みの公開範囲から外されてしまうでしょう。

   先日、社長と食事をしたときに、ついそんな話題を振ると、

「そりゃ証拠を押さえて、即刻処分しなきゃダメだ。仕事中のパソコンを遠隔でモニタリングできるようにして、ついでにおかしなメールを送っていないかチェックできるようにしよう。予算をつけて、来月にはしくみづくりに着手しよう」

と、思わぬ展開になってしまいました。でも、いざやろうとすると、悪趣味な覗き行為のようなことが許されるものなのか、疑問も湧いてきます。バレたら部下たちの反発を買い、信頼関係も破綻する気もしますし、どうすればいいものでしょうか――

社会保険労務士・野崎大輔の視点
モニタリングはトラブルの原因調査目的を原則に

   確かな証拠もないまますっかり疑心暗鬼になっているようですが、監視システムのために高額なお金を支払う前に、まずは怪しい社員の仕事ぶりを確認し、成果が上がっていなければ指導することが先でしょう。現状ではルールがなさそうですが、就業規則の服務規律などに「業務用パソコンの私的利用を禁止する」と定めて周知徹底するだけでも、ムダな時間を費やす人が減ると思います。ネットワークへのアクセスログを取得して、そこから利用状況を押さえることもできます。

   ただし、会社の悪口を書くなど悪質な利用状況が予想される場合には、作業画面の確認も必要かもしれません。業務用のパソコンを使っているわけですし、就業時間中でもあるので、会社はモニタリングが可能です。とはいえ、社員たちには実施の可能性についてあらかじめ告知しておくべきですし、何か問題やトラブルがあったときに原因を調査するために行うという条件を設けておいた方が、「プライバシーの侵害だ」などといった無用の摩擦を起こさずに済むと思います。

臨床心理士・尾崎健一の視点
「SNSへのアクセス環境」がモチベーションを高めるかも

   フェイスブックなどのSNSを、実名・会社の肩書きありで利用する場合、個人で利用しているように見えても、半分は仕事のようなものとして使っているケースがあります。広告代理店の営業マンであれば、そのようなツールを使って取引先とゆるく広くつながる関係を作っておくことは、悪いこととばかりいえない気がします。

   コピー機や業務用の携帯電話など会社が支給した機器の利用は、公私混同しないことを原則としつつ、社員の自由をある程度認めた方が仕事の生産性や会社への忠誠心にプラスに働くと言われています。シスコシステムズの調査によると、最近の米国の若手社員の多くが、仕事を選択する際に「ソーシャルメディアへの自由なアクセス」を「給与の高さ」よりも重視しているという結果も出ています。フェイスブックの利用を引き締めることにより、「この会社、わかってないなあ」という不満につながるということでしょう。もちろん、仕事に差し支えるほど没頭している場合には、まずは正面から注意することが必要です。


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(本コラムについて)
臨床心理士の尾崎健一と、社会保険労務士の野崎大輔が、企業の人事部門の方々からよく受ける相談内容について、専門的見地を踏まえて回答を検討します。なお、毎回の相談事例は、特定の相談そのままの内容ではありませんので、ご了承ください。

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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