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売れる営業マンが新聞記事から「希望のある話題」を探すワケ

   新聞の1面には「悪いニュース」が載ることが多い。実際に悪いことが起こっているから仕方がないのだが、まじめな日本人はネガティブで深刻なニュースを好むから載るのだと指摘する人もいる。

   しかし、リクルート社で6年連続トップセールス賞を取り、独立起業専門誌『アントレ』の編集長を務めた高城幸司氏は、そういう否定的な話題ばかりではなく、希望のある話題、元気になる話題を探そうと呼びかけている。どういう理由からなのだろうか。

肯定しやすい世間話を「イエスセット法」に使う

高城幸司著『仕事の9割は世間話』
高城幸司著『仕事の9割は世間話』

――次のような取引先と営業マンとの会話があったとします。

営業「4月になると管理部門は社員の受け入れ準備で大変な時期ですね」
取引先「その通り。教育研修や配属先への通達業務など多忙を極めます」
営業「やはり、そうですか。そんな業務を緩和する仕組みが弊社にございます。一度ご覧になっていただけますか」
取引先「いいね。一度見せてもらおうか」

   このようにイエスが最初に口に出れば、会話はスムーズに運びます。さらに、相手がイエスと3回続けて答える話題を提供できたら、本題への展開としては最高です。相手が前向きになる状態を段取れること間違いありません。

   これは恋愛の場面において、相手にプロポーズして断られない必殺のテクニック「イエスセット法」と同じです。人間には「何度も同意していると、すぐには反論しにくくなる」という一貫性の法則があり、これを利用すれば、迷っている問いに対してもイエスと回答してしまうのです。

   …イエスセット法のテクニックは、仕事の世間話でも同じように活用できます。例えば、何となく重苦しい状況になりそうな仕事の打ち合わせのときは、いきなり本題に入るよりも、前向きな気分になる世間話で場の雰囲気を変えます。

「なでしこジャパンの活躍による経済効果は大きいものがありますね」
「円高を追い風にして堅調に売り上げを伸ばす小売業があるのをご存じですか」

と肯定しやすく、前向きになる話題を提供しましょう。

   間違っても「ギリシャはどうなるのでしょうか?」とネガティブな話題はご法度です。新聞記事からテーマを見つけるなら、希望のある話題、元気になる話題を探してください。1面を飾る話題のニュースにこだわることはありません――

(高城幸司著『仕事の9割は世間話』日経プレミアシリーズ、157~159頁より)


(会社ウォッチ編集部のひとこと)

   本書は、ビジネスパーソンの世間話は単なる「雑談」や「無駄話」にとどまらず、ねらいを設けて行う必要があり、そのために守る戦略があると説いている。本音を引き出したい場面、同じ問題意識を持ちたい場面、相手に人柄を理解してもらいたい場面などにおける世間話の展開例が描かれている。

   「こんな人の世間話はNG」に1章分を割いているところも興味深い。趣味の自慢話ばかりする人、時間を気にせず長々と話す人、毎回同じ話題ばかりの人、専門用語を連発して理解不能な人、興味がないことに気づいてくれない人…といった具合だ。「雑談好きな人が売れる」というテーマではないので、口ベタの人も参考になるだろう。