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公務員を辞めると言ったら、親から「ただの5月病」と一蹴された

   Q&AサイトのOKWaveに、こんな相談が載っていました。質問者のdenwchoさんは、この春に高校を卒業し、4月から社会人として働き始めました。

   小さなころから「何か人のためになることがしたい」「何か人の喜ぶことがしたい」という思いが強くあり、その答えとして公務員を仕事に選び、地方の消防士になりました。しかし早くも転職を考えるようになっているのだそうです。

   理由は3つあります。1つめは上下関係です。消防士は男社会で、上下関係をうるさく言われます。しかし、質問者さんはもともと堅い感じが苦手。高校時代は部活やバイトもしておらず礼儀などに疎いところもあって、指摘されるたびに嫌気がさしています。

何もない日は訓練や事務「日々の充実感を得たい」

「消防士の仕事」以外でも問題が起きそう
「消防士の仕事」以外でも問題が起きそう

   2つめは、何のために仕事をしているのか分からないこと。何をどうしたら「人のため」「人の喜ぶこと」につながるのか、働いて1か月経った今でも分かりません。

   3つめは、日々の充実感がないことです。消防士は災害が起きたときには必死で立ち向かえるけれど、何もない日は訓練や事務しかやらないので「その日その日ちゃんと充実感がある仕事がしたい」のだそうです。

   もし転職するとしたら、前から興味があった「ホテルや旅館の接客」はどうかと考えています。そんな仕事なら「人のため」という思いが日々実現できるのではないか――。

   このことを親に相談したところ、「ただの5月病だ」と一蹴されてしまいました。しかし、自分なりにこの仕事を続けられるかと長い目で考えると、若いうちにさっさと転職してしまった方がよいのでは、という思いに駆られています。

   この相談には、回答者からなかなか厳しい助言が寄せられています。KARA111さんは「典型的なゆとり教育の悪い現象」と断じています。

「プロスポーツ選手だって年間の半分は練習ばっかしてんだよ。なんでまだ水にも入ったことないか、入ったばっかのおぼれてる無能君が、水泳の何たるかを語れるんだよ」

   ちょっと口調は乱暴ですが、的を射ている気がします。回答者は、こう続けます。

「今のお前はむしろ辞めたらやばい。むしろマシになる好都合な環境に入った。まず1年限定の考えでいいから、周囲よりも一生懸命に、自分の未来のために仕事しろ。練習しろ。心身共に鍛え直せ。そしたら、転職しても少しはマシになる」

接客業には「今の何倍もの上下関係」がある

   2児のパパで、元地方公務員のkirby1さんは、ホテルや旅館の接客業の厳しさについて優しく説明しています。消防士の上下関係が耐えられないというけれど、接客業はお客さんからクレームがつけば終わりです。

「自分より、お客さんの方が上の立場なんです。…意味がおわかりでしょうか? 今の何倍もの上下関係の中で、何を言われても我慢をしなければならないのです」

   yytt56さんは、消防士の規律の厳しさの意味を教えます。

「上下関係が厳しいのは、現場でお互いの命を守り、助けを求める人を無事に救い出すため…。一つでも指示命令を聞き逃したり統制が取れていなければ殉職したり、助けられた命を失ったりすることになると思います」

   そして、「何もない日」ばかりで充実感がないという質問者に、訓練の意味を諭します。

「火災の現場で、例えば逃げ遅れた人を助けたり、または仲間が逃げ遅れた人を助けに火の中に飛び込んだ時に放水する。無事に救助できた。…その時のために訓練があり、資材の手入れなどの雑務があるんです」

   質問者の若者のまじめさが伝わったのか、全体的に温かい回答が目立ちました。市民としては消防士の充実感のために、火災が起きるなんて困るのですが…。きっとこれから火災現場の修羅場を経験することで、何もない日のありがたさや、日々の訓練の大切さが身にしみて感じられることでしょう。