2019年 11月 21日 (木)

中国の怒れる若者たちは日本の「団塊世代」のように豊かになれるか

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   尖閣諸島の国有化を契機として、中国各地で反日デモが激化した。廃墟となったスーパーや日本食レストランの写真を見て、衝撃を受けた人も多いのではないか。

   ただ、筆者は一連の騒動を見ていて、なぜか日本の全共闘運動を連想してしまった。60年代後半から70年代にかけて、ちょうど今の団塊世代が日本中の大学で暴れ回ったアレである。反日デモと日本の学生運動の共通点とは何だろうか。

共通する「大卒者がエリートでなくなった憤り」

   実は、一連の大学紛争で明確なビジョンを持っていたのはごく一部の学生だけで、圧倒的多数の学生はただなんとなくデモに参加していただけだった。彼らを「なんとなく」デモに参加させたのは、実に単純な理由だった。

「一九七〇年代から日本の企業は大卒の大量採用をおこなった。七一年には、大卒を九〇〇人採用する企業があらわれた。大量採用だから、大卒だからと言っても専門職種につくわけではない。将来の幹部要員でもない。ただのサラリーマン予備軍には専門知や教養知を必要としないのである。
   (中略)そんな大学生が、知識人とはなにか、学問する者の使命と責任をとことんつきつめようとしたところが腑に落ちないのである。
   あの問いかけは、大学生がただの人やただのサラリーマン予備軍になってしまった不安と憤怒に原因があった」(竹内洋『教養主義の没落』中公新書より)

   戦後、豊かな時代の到来とともに日本の大学進学率は上昇し、70年頃には20%に達した。60年に61万人だった4年生大学在籍者は、10年後には137万人に急増している。倍増したとはいっても、本人たちは同じだけの学費を払い、先輩たちと同じエリートのつもりで入学してきているわけで、ある日突然、

「おまえら、もうエリートでもなんでもないから」

と言われて納得できるわけがない。社会秩序をひっくり返したくなる気持ちはよく分かる。

   そして、この構図は、そのまま今の中国にも当てはまる。今年、中国の大学を卒業する学生は過去最大の680万人に上るとされるが、未就業の既卒者がさらに200万人存在すると言われている。

   経済成長を続ける同国だから、贅沢言わなきゃいくらでも働き口はあるだろうが、「大卒」に相応しい働き口がそれだけ純増しているとはとうてい思えない。強烈なフラストレーションが溜まっていることは想像に難くないだろう。

   もちろん全員が就職に不満のある大学生というわけではないだろうが、当局がデモ抑制のために臨時授業の実施などで対応していることから見ても、大学生がデモの大きな原動力であることは間違いない。

   これが、筆者が反日デモを見て全共闘を連想した理由である。共産国において革命を叫んでもしょうがないので、反日を叫んでいるというわけだ。

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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