2020年 10月 29日 (木)

アニメのクオリティは「だれかが踏ん張ること」で保たれる

スマモニの覆面調査のお仕事で高額謝礼を獲得!
「締め切りは来週。放映は3週間後です」

   「無理無理無理…!」と思わず叫びたくなるようなスケジュールの仕事が、ときどきやってきます。今だに、これまでやったことがないことが起きるアニメの現場。「史上最悪のスケジュール」の極悪っぷりは、毎年のように更新されています。

   たとえばですが、「明日までにポルシェを特別仕様にカスタマイズして納車してくれ」と頼まれたら、メーカーでは徹夜のトッカン作業が行われ、請求金額も割増になりますよね。ところがアニメでは、オーダーがポルシェ級でも「料金は同じで期間は半分!」なんてこともザラです。

2大名言「アニメは気合い」「終わらない仕事はない」

迫る納期…。無理と判断して仕事を降りるか、無理を承知で請けてしまうか
迫る納期…。無理と判断して仕事を降りるか、無理を承知で請けてしまうか

   オーダーを受けた現場の反応は、さまざま。品質が担保できないため、仕事を降りる人もいます。それでも最後まで残った人たちの考えることはひとつ。「さて、どうするか?」

「だれか一人が身体を張っていれば、その作品は成功するんだよ」

   10年以上前ですが、アニメ監督の真下耕一さんから贈られた言葉です。ないないづくしの状況に「いったいどうすればクオリティが保てるのか…」と困っていた私に、大先輩はきっぱり「だれかが踏ん張ることだ!」と言い切りました。

   その当時はテレビシリーズが週80本近くあり、多くのスタッフは掛け持ちで仕事をしていました。時間が足りなければ作品の質も下がります。私のいたスタジオは、企業としては当然なのですが、作品の質より納期優先という会社でした。

「アニメは気合いなのだ!」

   単純な私は、大先輩の一言に感動。「気合い! 気合い!」と無我夢中で仕事をした結果、納期も質もキープできました。火事場の馬鹿力だったのかもしれませんが、最後はほとんど徹夜の連続でよく身体を壊さなかったものだと思います。

数井浩子(かずい・ひろこ)
アニメーター、演出家。『忍たま乱太郎』『ポケットモンスター』『らんま1/2』『ケロロ軍曹』をはじめ200作品以上のアニメの作画・演出・脚本などに携わる。『ふしぎ星の☆ふたご姫』ではキャラクターデザインを担当した。仕事のかたわら、東京大学大学院教育学研究科博士後期課程に在籍。専門は認知心理学
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