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日本の若者が減ったなら、外国から「お客さん」を呼べばいいじゃない?

   先日、新幹線で隣席になった台湾人の女性と話をしました。彼女は一人で日本に観光に来ていて、1週間ほど東京に滞在するということ。日本のアニメやドラマが好きで、日本語が普通に話せます。明日は中野ブロードウェイに行くとか…。

   そんな彼女は今回、新潟県の「ガーラ湯沢」に行って、生まれて初めて雪に触ったそうです。スキーはできないけど、そりで滑ったり雪だるまを作ったりしたと、ハイテンションで語ってくれました。

スキー場には東南アジア系、欧米系、アラブの人たちまで

販売員のお兄さんは中国からの留学生で、日本語も英語も話せる人でした
販売員のお兄さんは中国からの留学生で、日本語も英語も話せる人でした

   東南アジアの旅行会社に行くと、日本への旅行を紹介するパンフレットには新宿や秋葉原、富士山や京都などに加えて、雪景色の写真が載っていることが多いです。よく読んでみると、北海道や新潟が日程に加えられています。

   東南アジアの国々で、海外旅行に簡単に行ける人はごくわずかです。しかし、一部の裕福層はかなり豊かになっており、「他の人がしたことがない体験」をしたいという人も増えています。

   特に中華系の見栄っ張りな人たちは「周りでは自分しか行ったことがない」ことが重要なようで、数か月前までの円高の時に「円が高くて誰も行かないから、あえて日本に行く」という需要があったそうです。

   そんな人たちにとって、誰もがテレビで目にしたことがありながら、ほとんどの人が体験したことのないスキーや雪遊びは、非常に魅力的に感じるようです。

   実際、ガーラ湯沢スキー場に行くと、様々な国籍の人がスキーを楽しみに訪れていることが分かります。中国人、韓国人、東南アジア系、欧米系、アラブの人たちまで。

   新幹線を降りてエスカレーターを上がってすぐのところにリフト券を買うカウンターがありますが、そのひとつには「中国語、英語、日本語で対応できますよ」という看板がついています。販売員のお兄さんは中国からの留学生で、日本語も英語も話せる人でした。

   スキースクールにも英語専用の受付窓口があり、初心者向けの講習を英語で行ってくれるそうです。受付をしているのは、オーストラリア人のお兄さんでした。

2050年に高齢化率が4割に達する推計も

   私がスキーを本格的にやっていた十数年前、週末のガーラ湯沢にはリフト待ちの列が延々と続いていました。しかし2013年の今は、週末のピークタイムでもほとんどリフトに列はできていません。

   経営しているJR東日本グループも必死で、新幹線の往復チケットとリフト券がついて平日6900円なんて激安パッケージを販売しています。

   この状況は若者の人口が激減しているためなので仕方のないことであり、十数年前から予想されていることでした。それ故、ガーラ湯沢のような大手資本は外国人観光客需要に活路を見いだし、今日のように外国人の方々に使い勝手のいいスキー場になったわけです。

   このことは、スキー場だけに当てはまることではありません。「若者の○○離れ」などと揶揄されている多くのことは、若者の総数が減っているのが根本の問題です。2004年12月には1億2784万人だった日本の人口は2050年には9500万人あまりに減り、65歳以上の高齢化率は19.6%から39.6%に急増するという政府の推計もあります。

   そんな中、新たなお客さんとして注目しなくてはならないのが「外国人」です。日本の良さをより一層海外にアピールし、たくさんの人が来てもらうと同時に、やってきた人たちが快適に楽しめる外国人向けのサービスを充実させて欲しいと思います。

   サービスレベルの高さは元々世界屈指。ちょっとカスタマイズをするだけで、外国人にとって日本は最高のアミューズメント・パークになるはずです。(森山たつを)