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あなたはどのタイプを選ぶ? 海外就職「3つのジョブ」

   「海外就職」が様々な場所で語られるようになってきました。ただ、日本国内の仕事でも、島耕作からデスマーチまで色々あるのと同じように、海外での仕事はひと言で括れるものではありません。

   日本人が海外で得られる仕事は、大まかに分けると3つあります。「日本語ジョブ」と「グローカルジョブ」、それに「グローバルジョブ」です。もしあなたが目指すとしたら、どんな仕事なのか、いちど考えてみてはいかがでしょうか。

誰でもできるが外国人に奪われそうな「日本語ジョブ」

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   1つ目の「日本語ジョブ」は、「日本語ができれば誰でもOK!」という名目で説明会を行っているコールセンターのような仕事が代表例です。中国の大連やタイのバンコクに在住し、日本からかかってきた電話の応対などをします。

   元々日本にあったコールセンターをそのまま海外に持ってきただけなので、仕事は全て日本語で完結します。大連やバンコクには日本語が通じる店も多いので、外国語がほとんどできなくても普通に生活できます。

   一般的に給料は低めで、日本円で月5万円から15万円といったところ。海外就職を否定的に捉える人が例にあげるのは、だいたいこの手の仕事です。ただし物価は日本よりずっと安いので、それなりにいい暮らしができることもあります。

   「日本語ジョブ」に就くリスクは、外国人に仕事を奪われやすいことです。日本語が流暢に話せる人なら誰でもできる仕事なので、日本語を学んだ中国人やタイ人と競争しようと思うと、さらに給与が下がってしまいます。

   電話回線さえあれば世界中どこでも開業でき、将来は別の国に仕事が流れるおそれもあります。中国やタイの物価や人件費が上がれば、もっと安く済む国に職場ごと流れていくでしょう。

   2つ目の「グローカルジョブ」は、海外にある日本企業で、現地の仕事をすることです。給与は月12万円から50万円と、国や職務によって幅が広い。ポイントは現地語を覚えて、現地の人とのコミュニケーション方法をマスターすることです。

   外国で仕事をしていることは確かですが、複数の国を股にかけた仕事は少ない。ちょうど外資系企業の日本法人が、日本国内の仕事をしているのと同じです。現地の日本人社会に溶け込んでビジネスを回すことを求められる場合もあり、「これじゃ日本と同じじゃん」と落胆することもあるかもしれません。

「グローカル」に生きるか、「グローバル」を目指すか

   「グローカルジョブ」に就くリスクは、現地の景気が悪くなったときに、仕事が見つからなくなる場合があることです。ただし、景気に左右されずに必要とされる重要な職務を担えば、クビになりにくくなります。

   あるいは、複数の国でグローカルに働ける汎用的スキルを身につけることができれば、景気のよい国を渡り歩いて豊かな生活を享受できる可能性も高くなります。

   「グローカルジョブ」に就いた人は、将来はその国のスペシャリストになるのか、それともいろんな国で働ける人材になるか――。どこかのタイミングで選択する必要に迫られるかもしれません。

   3つ目の「グローバルジョブ」は、複数の国を統括する国際的な仕事です。グローバル企業がアジア地域を統括する「アジア本社」は、昔は日本に置かれることが多かったのですが、最近はもっぱらシンガポールや香港に置かれます。

   「アジア本社」の仕事は、ほとんどが英語で行われます。アジア各国を飛び回る場合も多く、体力的にハードです。世界中の優秀な人材との競争になるので、成果が出せなければすぐにクビになりますが、日本企業より遙かに高い報酬を得ることも可能です。

   アジア本社以外に、欧米企業の本社で指揮をとるグローバルジョブもありますが、そこに参画するには欧米の超一流大学を卒業するなど高い学歴と実績が必要になるため、一般の日本人には難しいかもしれません。

   このように「海外で働く」といっても様々なタイプの仕事があります。現在のスキルや将来やりたい仕事を踏まえて、どのようにキャリアをデザインするか、じっくり考えてみましょう。

※海外での仕事内容やステップアップ方法など、グローバルキャリアを考えるために必要な情報をまとめました。大石哲之さんとの共著『普通のサラリーマンのためのグローバル転職ガイド』(東洋経済新報社)。ぜひご一読ください。