2019年 9月 21日 (土)

「夢の直行直帰!」 安易に許すと会社にとってリスクになる

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   少し前になるが、AKB48のメンバーが登場するTVCMで「夢の直行直帰」というキャッチコピーが使われていた。外出先から業務報告をすませて、「そのまま合コンに行こう!」というわけだ。

   報告のためだけに時間をかけて帰社するのは、確かに生産的ではない。一方で直行直帰の裏には、いろんなリスクが潜んでいる。重要書類を持ったまま飲みに行って酔っ払い、かばんごと書類をなくしてしまう事故はよく起きる。また、上司の目の届かないところで不正が起きやすくなるリスクもある。

ほとんど出社せずに偽装工作を繰り返す

   先日も「直行直帰」が不正の機会をもたらしていた事件が発覚した。被害にあったのは大手システムインテグレータ100%出資の連結子会社で、オフィスのレイアウト設計・施工、ネットワーク工事などを提供するN社だ。

   大阪支店の営業係長をしていたAが、2年8か月にわたって架空取引を繰り返していた。会社のカネに直接手を出したわけではないが、自分の営業成績を水増しして「できる営業マン」の地位とボーナスを不正に得ていたのだから同罪だ。

   不正を繰り返すと、徐々にひずみが生じる。Aの行動にも、さまざまな不正の兆候が表れていた。

・Aは「直行直帰」を口実にほとんど出社せず、上司も黙認していた。その間、Aは自宅のパソコンで発注書や契約書などの偽装工作をせっせと繰り返していたようだ
・Aが取ってくる商談には、最初から書類がすべて整いすぎるほど整っていた。発注者や下請との交渉はすべてAが一人で進めたことになっていたが、これは現実的ではない
・N社全体の売上構成は、親会社がらみの案件が6割、直接取引が4割であったのに、大阪支店は直接取引が約8割と異常に高かった

   また、N社には下請業者の資金繰りを支援するために工事代金を先払いする制度があるが、本社案件の先払い額が1社平均30万円であるのに対し、大阪支店の案件では平均130万円と突出していた。Aは、N社をだまして先払いさせた金額を使いまわして、架空取引を続けていたのだ

甘粕潔(あまかす・きよし)
1965年生まれ。公認不正検査士(CFE)。地方銀行、リスク管理支援会社勤務を経て現職。企業倫理・不祥事防止に関する研修講師、コンプライアンス態勢強化支援等に従事。企業の社外監査役、コンプライアンス委員、大学院講師等も歴任。『よくわかる金融機関の不祥事件対策』(共著)、『企業不正対策ハンドブック-防止と発見』(共訳)ほか。
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