2024年 4月 18日 (木)

入社2年目童顔女子「フェイスブックに、会社のコト書いちゃダメですか?」

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   ある調査によると、日本国内のフェイスブック利用者は1350万人あまりにのぼるという。国民の10人に1人は利用していることになる。非公開のグループを作り、情報交換をしている新入社員たちもいるそうだ。

   ある会社では、女子社員がフェイスブックにさまざまな情報を書き込み、大勢の「友達」を集めている。本人にとっては楽しみのひとつだろうが、会社の管理部門の担当者からすると気が気でないところもある。

友達1000人、書き込みの「いいね!」100以上

――広告代理店の人事です。フェイスブックを使用している社員がかなり増えてきました。特に入社2年目のA美さんは童顔でカワイイ系のルックスが人気を呼び、いまでは「友達」を1000人近くにまで増やしているそうです。

   そのA美さんがときどき社内の様子や社員との飲み会、仕事のことについて書き込みをしていると聞き、少し気になっていましたが、先日、支店の管理職からこんなメールをもらいました。

「あのさ、A美にフェイスブックで仕事のことを書かないように、そろそろ注意したほうがいいんじゃないか。今日、新しい企画について書いてたけど大丈夫?」

   驚いて支店に連絡を入れたところ、ウェブキャンペーンに関する社内プロジェクトが始まるという書き込みが確認できました(A美さんは「友達のみ」で書き込みをしており、私は友達になっていないので見られません)。

   A美さんに連絡を入れると「確かに書き込みましたけど、でも中身は書いてないので問題ないですよね?」と、まるで悪気がない様子。しかし書き込みには「いいね!」が100以上ついており、社外から注目されたことをきっかけに、ライバル社の情報収集が進む可能性もあります。

   機密漏えいだけでなく、社員が不祥事を起こしたときにSNSの書き込みが注目されることもあり、リスクマネジメントを担当する人事の立場からすれば、社員には社名と実名を明かしてSNSを使わないで欲しいくらいです。

   とはいえ、これだけSNSが流行するなかで、頭ごなしに「全面使用禁止」を通告するのもどうかと思い、迷っています。こういうとき、どうしたらいいのでしょうか――

社会保険労務士・野崎大輔の視点
ガイドライン作成を。合理的なルールでないと処分できない

   会社が社員によるSNSの利用をどこまで制限するのかは、会社によって異なると思います。大手企業の中には実質的に利用禁止となっている職場もありますし、個人事業主の中にはすべてをさらけ出すように書いている人もいます。ご相談の会社でも、社員の利用を禁止することは不可能ではないと思いますが、原則として仕事に支障がない個人のネット利用は許容されるべきです。個人的には、A美さん程度であれば問題にならない気がします。

   会社として許容する利用方法はどこまでで、どこからは禁止するかについて、ガイドラインを作っておいてはいかがでしょうか。A美さんの「プロジェクトが始まった!」という程度の書き込みでもダメな会社もあれば、許容される会社もあるのではないかと思います。なお、禁止される行為の線引きには合理性が必要です。理不尽なルールを作り、それがが守られなかったからといって処分することは認められないでしょう。

臨床心理士・尾崎健一の視点
実名を明かさないとかえって無責任な書き込みが増える

   会社の中には、会社名を明かして実名でSNSに書き込むことを問題視するところもあるかもしれません。社名を伏せて「プロジェクトが始まった!」と書き込んでも、何のことだかすぐには分からないから良しとするということでしょう。しかし、匿名で書き込んでも、友達関係や書き込みの文脈から本人が推定されることはよくあるので油断はできません。むしろ匿名で無責任な書き込みをされるよりも、実名で責任を負える書き込みをさせた方がいいという考えもあります。

   日本IBMの「ソーシャル・コンピューティング・ガイドライン」では、「実名を使い、身元を明らかにし、あなたがIBMに勤務していることを明示するように奨励します」としています。有益な書き込みであれば本人や会社の信頼を高めることにもつながります。そのうえで、会社のリスクだけでなく、ストーカーやアカウント乗っ取り、逆恨みなどの個人リスクについてもガイドラインで注意を呼びかけておくといいと思います。

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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