2024年 4月 20日 (土)

15人の同期が12年でゼロに 外資系コンサルをクビになっても恥ずかしくない

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外資系企業は「クビ」になる。解雇は怖い――

   そういうイメージを持っている人も多いと思います。実際、私が新卒で入ったコンサルタント会社は、同部署の同期が15人いましたが、すでに全員が会社を辞めています。4~5年で半分、10年目で残り1人となり、彼も12年目に辞めました。

   このことはもしかすると、「離職率は低い方がいい」と考えている普通の日本企業のみなさんにとっては衝撃的かもしれません。若いうちにこれだけの人が辞めるというのは、怖いと思うでしょうか。ただ、本人たちはそれほどネガティブでもないのです。

「他の仕事で成功できるものがあるはず」と肩たたき

「得たものはゼロではなかった。早めに新しいスタートを切って、もっと成功する」と思えばいい
「得たものはゼロではなかった。早めに新しいスタートを切って、もっと成功する」と思えばいい

   私の場合、コンサルタントの仕事は大変面白く刺激的で、もっと続けたかったのですが、学生時代からやっていた就職活動支援のネットサービスを法人化することを選びました。会社に勤めながら、自分の会社を作ることは不可能だったからです。

   他の辞めた人はどうしているのか。1人は京都の老舗の人形屋の跡取りで、コンサルタントの経験を活かして海外に積極的に展開しています。その他にも、中小企業の後を継いだ人が数名います。

   他の業種に転職した人もいます。ファンドや金融畑に行ったり、ネット系のベンチャー企業を起こして上場したり、大手企業に売却した人もいます。外資系企業の日本法人の社長をやっている人もいます。大学の准教授になった人もいますし、ビジネスはもう十分やったというので、なんと医学部に入り直して医者にキャリアチャンジした人もいます。

   さらに見聞きした面白い例でいうと、コンサルタントの経験を活かして「本当にビジネスが分かる弁護士」というニーズを埋めるために弁護士になった人。議員になった人も知っていますし、市長になっている人もいます。

   そうです。12年でゼロになったといっても、みなさん自分から主体的に自分のキャリアを考えて新しい道を選んでいます。コンサルタントの経験を活かしつつ、自分でやりたいことを見つけて、その道を選択したのです。

   もちろん、中にはコンサルタントとしての限界を感じて、結果として他の道を探った人もいます。しかしそういう人に対しても、かなり優しく会社を去る機会を与えているのです。

「誰もが全員コンサルタントという職業に100%向いているわけではない。たまたまこの職業ではうまくいかなかったかもしれないが、得たものを活かして、他の仕事で成功できるものがあるはずだ。だから、次のチャンスで、君が成功できることを祈っているよ」

という感じです。ほんとうにそうなのです。

大石哲之(おおいし・てつゆき)
作家、コンサルタント。1975年東京生まれ、慶応大学卒業後、アクセンチュアを経てネットベンチャーの創業後、現職。株式会社ティンバーラインパートナーズ代表取締役、日本デジタルマネー協会理事、ほか複数の事業に関わる。作家として「コンサル一年目に学ぶこと」「ノマド化する時代」など、著書多数。ビジネス基礎分野のほか、グローバル化と個人の関係や、デジタルマネーと社会改革などの分野で論説を書いている。ベトナム在住。ブログ「大石哲之のノマド研究所」。ツイッター @tyk97
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