2020年 1月 30日 (木)

社員旅行でケガ人発生! 「労災申請してください」に会社困惑

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   製造業に携わる人が減少しているためか、働く人の間で「労働災害」に対する意識が低くなっているという指摘がある。仕事によるケガなのに、労災制度を知らずに健康保険で病院にかかってしまう人がいるというのだ。

   逆に、労働災害に対する知識を持った人の中には、なんでも労災にしようとする人もいるという。ある会社では、社員旅行で転倒してケガをした社員から「労災申請してください」と要求され、人事が困惑しているという。

「会社がやってくれないなら自分で労基署に行く」

――金属加工業の人事です。当社は従業員40人程度ですが、創業者の社長を中心にまとまりある会社として地道に生き延びてきました。

   「社員は家族」というのが社長のモットーで、ここ20年ほど毎年会社負担で社員旅行に行っています。その旅行で今年、若手ホープのA君がケガをしてしまいました。

   観光地の階段を上っている最中に後ろの一般客が転倒し、そのあおりでA君が踊り場まで転落。腰を強く打って病院に運ばれてしまいました。

   骨折などの大ケガにはならなかったものの、A君はしばらく通院することに。しびれなどの後遺症のおそれもあると診断されたそうです。それを聞いたA君はショックを受け、

「これは労災になるんじゃないですか? ぜひ申請してください」

と人事に駆け込んできました。

   確かに社員旅行は全員参加が暗黙の了解になっており、実際にほとんどの従業員が参加しています。とはいえ強制参加ではありませんし、土日に行われるため業務という認識もない人がほとんどだと思います。

   しかしA君は「自分から行きたくて行ったわけでもないのに、任意なんてひどいですよ。会社が手続きしてくれないなら、自分で労基署に行きますから」と息巻いています。会社としてもできることはしたいのですが、労災と認められるものなのでしょうか――

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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