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関心がなくてもいい。「ある」と思い込むことが大切

   関心が無い人に対する態度はわかるもの。これは仕事だけでなくプライベートでも同じでしょう。

「仕事で上司から褒められたよ。すごいだろ」

と話したときに、関係が薄い知人なら、

「それはよかったですね。おめでとうございます」

とおざなりなお祝いの言葉が返ってくるもの。ところが日々の苦労をよく知っている親友であったとしたら、

「本当に苦労が報われたんだね、うれしい」

と自分ことのように受け取ったり、

「じゃ、会社で期待が高まるね」

と出世する未来に期待を膨らましてくれたりします。

取引先に対する態度が売り上げ実績で露骨に態度に…

まずは関心を持ってみよう
まずは関心を持ってみよう

   いずれにしても関心が高いと自分につなげて考えます。同じように仕事で関わる関係者とのやり取りでも自然と本音に満ちた関心の度合いは出てしまいます。

   一例を紹介します。営業職のBさんは取引先に対する態度が売り上げ実績で露骨に態度に出ることで有名な人物。年間でナンバーワンの実績を誇るK社の担当者と話しているときは、

「そうですか、それは凄いですね。是非とも一度お供させてください」

と明るく、抑揚のある声で反応し、熱心に聞く姿勢も示しています。ところが、年間取引が僅かしかないN社の担当者と話しているときには

「…別にいいじゃないですか。それがどうしたと言うのですか?」

と何気に否定的な言い方ばかり。聞いている姿勢も腕を組むなど、意欲が感じられません。

「これだけ露骨に売り上げで態度を変えるのは如何なものか?」

と周囲から注意されることが頻繁にあるようですが、一方で売り上げの高い取引先との会話で関心の高さを示す姿勢は見上げたものとも言えませんか?その態度が、大きな取引を継続させる要因の一部になっているから。

   実際にK社の担当者は何事にも熱心に反応してくれる姿勢を高く評価しています。「同じような商品を買うならBさんにお願いしよう」とお墨付きをもらうまでになっているからです。ではBさんはN社担当者をどう考えているのかというと、

「別に関心なんてありませんよ。仕事として関わりから興味を示すフリをしているだけです」

   現実的な回答が返ってきました。でも、これが実態なのでしょう。本当に関心があるのではなく仕事として関心がある態度を演じているのです。

   営業として大事なことは、自分が縁あって仕事をすることになった(あるいは可能性が高い)取引先の

・会社の業績

・会社のトピックス

・担当者の業務

などに関心を示すべき。いや、正確に言えば関心が示せるように努力すること=思い込むことが大切。例えば、あなたがカレー好きでカレー店の担当になったとすれば取引先に対して自然と関心は出るはずでしょう。

「この人はどのような価値観で仕事に取り組んでいるのだろうか?」

「人気メニューベスト3は何ですか?ちなみに当方はチキンカレーファンです。それもトッピングでほうれん草と辛さ2倍のトッピングで…」

と自分の嗜好で聞きたいことがたくさんあることでしょう。でも、そんな自分の関心の高い範疇で取引先を選んでいたら仕事になりません。

   仮にまったく知識も関心もない【代金回収サービス】の法人を担当したとしましょう。

   本音を言えば、「代金回収なんてよくわからない」というところだと思いますが、そのとき、そのビジネスの存在価値について自分は興味があると思い込んでください。

   そして、

「この業界はどのように展開していくのでしょうか?」

などと関心を質問に変えて相手にぶつけてみましょう。そこで得た回答によって知識が増えれば、「クラウド化で、この業界のビジネスチャンスが広がるだろう」などと自分なりに業界知識が蓄えられ、関心も高まってくるはずです。

   これは会社だけでなく、担当者に対する関心も同じです。

「この人はどのような価値観で仕事に取り組んでいるのだろうか?」

と関心を持ってみましょう。

   自分が関心の高まる努力をすることで、相手も自分に関心を示してくれるもの。こうした努力を積み重ねることで取引先との関係が深まることでしょう。

   はじめは、「フリ」でも構いません。少しでも「そういえば、あの人はいつも何を考えているのかな」、「あの会社って、何してるのかな」と考えてみることからはじめてみませんか?(高城幸司)