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休日に「上司から頻繁な電話」でブチ切れ 「時間外手当を払って下さい!」

   上司「休日のとこ、電話して悪いね。ちょっと教えて」、部下「はい。どうぞ。ええ、ええ、それはかくかくしかじかです」。~~~上司「またまた、悪いネ」、部下「いえいえ。どうぞ。ええ、ええ……」。~~~上司「あのさあ、ま~た分かんないことあってさぁ~」、部下「これ、何回目の電話ですか!?」

   休日に上司から仕事に関する電話がかかってきた。ごくたまに短時間、なら目くじらを立てる人は少なそうだが、これが「休みのたびに」「1日に何回も」なんてことになってくると、話が違ってくるようだ。

「おちおち外出もできなくて、プライベートも楽しめません」

   物流倉庫業界の人事です。我が社では、倉庫を運営している為、365日稼働しています。昨今の物流の増加や自然災害などにより、現場への負荷は増えるばかりです。

   そんな中、若手のAくんから人事に相談がありました。

「休日に、課長から携帯に電話がかかってくるんです。以前は頻度も少なく、申し訳なさそうにしていたのですが、最近は休日なのに当たり前のように電話してきて仕事の話をするんです」

   どれほど込み入った話になってしまうのか、尋ねたところ

「すぐ済む話もありますが、時にはメールや資料を確認しなければならないこともあります。これではおちおち外出もできなくて、プライベートも楽しめません。休日に電話対応した時間は時間外手当を適用するとか、休日に電話がかかってくる可能性のある日にはスタンバイ手当をつけてもらうとか考えてもらえないとやってられません!」

と言うのです。

   課長に聞いてみると、

   「確かに仕事の確認で電話したことはあるけど、そんなに気にするほどのことか?調べものがあったとしても30分もかかったわけじゃあるまいし。わしなんか『わからないことがあったら勝手に判断せず、私が休日でも電話してこい』と言っているくらいだが…」と実際に電話をしていることは認めていますが、その程度は許容範囲という姿勢です。

   電話対応した時間を時間外手当として算出するには短か過ぎますし、スタンバイ手当なども予測不能で現実的ではありません。

   しかし、これから更なる物流の増加と迅速性を求められる社会が予想されます。対策を打たなければ、Aくんのような不満は今後も増えそうです。これを機に何か考えておいたほうがよいでしょうか?

社会保険労務士 野崎大輔の視点
発生ベースでの手当の支給を検討

   基本的に、休日はよほどのことがない限り、電話をしない方が良いです。しかし緊急事態で担当者に聞かなければならない事態が発生することもあるでしょう。

   そういう場合は、電話応対手当として10分未満は500円、10分以上20分未満は1000円というように1回電話したら手当を発生するという風にしたらどうでしょうか?1分単位で支給するのと比較しても不利益にはならないと思います。

   1分単位で計算するのも手間がかかるでしょうし、微々たる金額なので課長も気兼ねせず電話してしまいそうです。毎月固定で手当として支給した場合、「手当を支給しているんだから、電話してもいいだろう」と休みでもお構いなしに電話する管理職も出てきそうです。月に電話応対手当がどのくらい発生しているかということを集計してあまりに多い部門には、なぜそうなっているのか確認して原因を追及すればいいのではないでしょうか。

臨床心理士 尾崎健一の視点
休日の社員への電話連絡を原則禁止する

   休日に仕事の電話があると、短い時間で済んでも、せっかくの休日気分が台無しですね。ここは会社の姿勢として、人の命に関わる問題などの緊急連絡以外は、「休日の社員への電話連絡を禁止する」という基本原則を決めてしまうのはいかがでしょうか。休日の社員はいないものとして、何かあった場合でも業務遂行できる体制を整えるべきです。携帯電話がない時代は、直接連絡を取ろうにも取れなかったわけですから、出来ないことはありません。

   本ケースの課長は、はじめは遠慮していたようですから悪いと思っていたのでしょうが、付き合いが長くなって甘えが出たのかも知れません。このままこうした傾向が強まり、対応時間がさらに長くなっても問題を感じない、ということになってしまう可能性もあります。本来であればAくんから課長に休日の電話についての意見を言えればよかったのですが、それを言えない関係になってしまっていることも問題です。

   自分が休んでいる間に何かあった場合、「早く知って早く対応したいから何かあったら電話して」とか「管理職だから連絡してもいい」という考え方の人もいるでしょう。しかし、労務管理上も休日に仕事をさせることに問題がありますので、会社で一律の基本原則を決めて全社員に浸透させるのが良いでしょう。