2019年 11月 14日 (木)

就活は「花形100メートル走」でなく、「400Mハードル」をめざせ

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   先日、為末大さんの競技エピソードを読みました。その中で、強く頷くところがありました。というのも、私がいつも考えていたキャリアの考え方と共通する考えだったからです。

   為末さんは、勝つために競技を変えています。陸上といえば、皆が憧れるのは当然100m走で、これが花形です。為末さんは中学生のとき100mのタイムはカール・ルイスが同じ年齢の時のタイムを上回っていたといいます。しかし、その後、だんだん成果がでなくなってしまいます。為末さんは、18歳で花形の100mを諦め、マイナー競技の400mハードルに方向転換します。そちらのほうが勝てる確率が高いと考えたのです。

   日本ではこういう行為は、「逃げ」だと捉えられがちで「あきらめた」と罵られるといいます。しかし為末さんは葛藤もあったものの、勝つためのチェンジだと考えました。

   その結果、為末さんは彼に向いている400mハードルで能力を発揮し、世界選手権で銅メダルをとるという成果をのこしました。彼は、100mで勝つことは諦めましたが、陸上競技でメダルをとるというゴールは諦めませんでした。

競争に勝てるフィールドを探し

為末大さんのキャリア・デベロップメント
為末大さんのキャリア・デベロップメント

   このエピソードは「自分が勝てるフィールド、競争に勝てるフィールドを探し、そちらに移るということ」の大切さを語っています。

   これは、キャリア・デベロップメントや就職という意味でも似ていませんか?

   学生の就職の話をきいていると、彼らは、無意識のうちに会社をランキング付けしています。商社や銀行がトップで、外食や小売、サービスは一番下。そんな序列がついています。

   これは陸上でいえば、100mを頂点にして、あとの競技を格下に見るような考えということも言えます。

   問題は多くの学生が、格上の企業を目指して画一的な競争をしているということです。ほんの一握りの学生だけしか入れないようなピカピカの大企業を目指して、全学生が同じゴールで競争してしまっているのです。

   しかし、ピカピカの大企業に入れるのはごく僅かです。

   仮に商社が300人の新卒を取るとしましょう。60万人の就職希望者にたいして、その比率は、なんと、0.05%です。とんなトップ上澄み0.05%の就職のストーリーが、あたかも全員がそれを目指せみたいに語られてしまっているのがいまの就活です。

   ちなみに、日本の上場企業の2012年の全従業員数を足し算すると618万人になります。日本の会社につとめる従業員は4000万人くらいなので、上場企業の従業員の比率は全体の15%程度ということになります。

   上場企業に入ることが就活のゴールであれば、就活は始めた時点から、常に85%は負け組になるようなレースだということです。

大石哲之(おおいし・てつゆき)
作家、コンサルタント。1975年東京生まれ、慶応大学卒業後、アクセンチュアを経てネットベンチャーの創業後、現職。株式会社ティンバーラインパートナーズ代表取締役、日本デジタルマネー協会理事、ほか複数の事業に関わる。作家として「コンサル一年目に学ぶこと」「ノマド化する時代」など、著書多数。ビジネス基礎分野のほか、グローバル化と個人の関係や、デジタルマネーと社会改革などの分野で論説を書いている。ベトナム在住。ブログ「大石哲之のノマド研究所」。ツイッター @tyk97
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