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「お母さんが『リケジョは貴重だよ~』って…」 「全入時代」で多様化する入学動機

   「どうしてうちの大学(学部)に来たんだい?」という問いに、「将来、研究者になりたいんで~す」と屈託なく答える未来のリケジョ。みな、未来への夢と希望にあふれキラキラと目を輝かせて大学に入学してくる……というわけでもない。

   「お母さんが『理系女子(リケジョ)は貴重だよ~』って言ったからぁ~」、「高校の先生が勧めたから」という他者依存型。「う~ん、なんとな~く」、「ここだったら家から通えるし~、お父さんが一人暮らしはだめだってぇ~」という何処でもよかった型。「サークルでバンドをやりたいんですぅ~」、「不本意入学です」という正直すぎる型、など多様な動機で大学に入学してくる。

学士お祖母ちゃんは「超エリート」

白衣、似合います?
白衣、似合います?

   2009年には日本での大学進学率が50%を超えた。つまり、1990年ぐらいに生まれた世代の2人に1人が大学に進学する時代が到来したわけだ。また、大学数とその定員は増え続け、入学希望者と全大学の定員の総数が同じになる、「どこでもよければ、どこかに入れる」いわゆる全入時代に突入しつつある。

   ちなみに、現大学生の親世代の大学進学率は、25%~35%程度だから3~4人に1人が、さらにその親の1950年代当時では10%程度であるから10人に1人ぐらいが大学に進学するという状況であった。つまり、学士(注:大卒で得られる学位)のお祖父ちゃんは村を代表するエリートであり、女性の大学進学率は3%ぐらいだったから、学士のお祖母ちゃんは超エリートなのである。どうりでご年配の方が「うちの孫は大学生だ」と自慢するのも、もっともな話である。まあ、近い将来には石を投げれば2人に1人の確率で学士様にぶつかる時代が到来するが。

決して「進学率高すぎぃ~」という状況ではない

   さて、では現在の大学生は?というと、1955年の高校進学率がおおよそ50%であることから推測すればお祖父ちゃん世代が高校に進学するぐらいの感覚か、とまでは言い過ぎかもしれないが、昔に比べて大学入学の敷居がものすごく低くなったのは事実であろう。ところで、50%程度の大学進学率は他の先進国と比べて高すぎるわけではない。むしろ低いというデータもある。国によって大学の制度が違うし、統計の取り方も統一されていないので一概に大小の比較は難しいので目安程度ではあるが、2010年においてアメリカの大学進学率は75%程度だし、お隣の韓国でも70%程度である。日本も決して「進学率高すぎぃ~」という状況ではない。

   まあでも「勉強」を愛してやまない向学心にあふれた人だけが大学に進学する時代ではなくなった事は事実である。「とりあえず」とまでは言わないが、比較的お気楽に大学に進学してしまった学生もポチポチと見受けられるようである。

   なるほどね、入学動機も多様化するし、やりたい事や将来の夢も異なるわけだ。なかなか大学生の育てがいがある時代である……(プロフェッサーXYZ)