2020年 1月 23日 (木)

「トンネル天井落下事故」の事例にみる 「報道被害」防いだ的確な広報対応

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   不祥事や、事件・事故などの突発的リスクは、企業の存続にかかわる一大事だ。広報パーソンは、企業防衛を図る経営陣と、社会やお客様との板挟みにあって苦労必至となる。しかし、機転を利かせて適切に対処すれば、リスクを軽減できる。

   山梨県大月市笹子町の中央自動車道上り線笹子トンネルで2012年12月2日に発生した天井板落下事故をご記憶の方は多いだろう。走行中の車が巻き込まれて9人の方が亡くなられた惨事となった。NEXCO中日本は12月3日の記者会見で「トンネル本体上部の天井(覆工コンクリート)と、天井板を支える吊り金具をつなぐボルト(コンクリートアンカー、直径1.6センチ、長さ23センチ)が抜けている箇所があった」ことを明らかにした。

出しゃばりと混乱を避けた

   この段階では、ボルトそのものに問題があったのか、施工方法に問題があったのか、それとも管理体制に問題があったのかは判然としておらず、筆者がアンカーボルトの最大手メーカーであるサンコーテクノ(千葉県流山市)に確認したところ、同社には多くのメディアから問い合わせがあったという。広報責任者の対応は以下の通りである。

(1)過去の記録をすべて調べたところ、笹子トンネルの工事に当社はかかわっていない
(2)マスコミ対応は、一般社団法人日本建築あと施工アンカー協会(JCAA)に一本化している

   この対応は的確である。最大手メーカーとして、自らがかかわったかどうかの事実確認を速やかに行っていた。また、原因究明、対応策、再発防止策は国土交通省、NEXCO中日本、協会などが主導すべきテーマであり、出しゃばりと混乱を避けた。結果として、サンコーテクノの社名はマスコミに出ず、同型トンネル49か所の緊急点検が行われた過程でボルトの信頼性が揺らぐこともなかった。むしろ、老朽化設備の補修が叫ばれ、ボルト業界にはプラスに作用した。

管野 吉信(かんの・よしのぶ)
1959年生まれ。日刊工業新聞社に記者、編集局デスク・部長として25年間勤務。経済産業省の中小企業政策審議会臨時委員などを務める。東証マザーズ上場のジャパン・デジタル・コンテンツ信託(JDC信託)の広報室長を経て、2012年に「中堅・中小企業の隠れたニュースを世に出す」を理念に、株式会社広報ブレーンを設立。
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