2020年 6月 3日 (水)

「取材への広報対応」、さっぱりダメだった朝日新聞 「原発・慰安婦」会見を分析する

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   メディア対応の極意は「逃げない、隠さない、ウソつかない」。会社をダメにするトップは「逃げる、隠す、ウソつく、なすりつける」。また、企業不祥事が発生した時のリスクマネジメントは「事実確認・原因究明、対応策、再発防止策」を速やかに明らかにし、実行することが肝要で、「情報の小出しは禁物」と、この連載で折に触れて解説してきた。

   さて、普段は「会社不祥事」を取材する側の朝日新聞社が先日、謝罪会見を開いた。数々の企業取材を通じて、これらの「極意」を知り尽くしているはずの同社だが、その一連の対応は、お手本どころかむしろ、お粗末だったとしか言いようがない内容だった。

「情報を小出し」の悪いパターンの典型例

   同社の木村伊量(ただかず)社長が記者会見を開いたのは、2014年9月11日夜。案件は、「所長命令に違反 原発撤退」と吉田調書内容を特報した(5月20日付)記事の取り消しや、一連の慰安婦報道における「吉田(清治氏)証言」記事取り消し(8月5日付検証記事中で)が、「遅きに失した」ことへのお詫びなどだった。

   企業防衛上の観点から、時間が経過してしまった不祥事については、すべてをセットにして発表し、事態を長引かせないことが鉄則といえる。今回の朝日新聞のケースから、企業が「他山の石」として学べることは、「情報を小出しにしない」ことの大切さである。訂正とお詫びが後ずれすればするほど、その内容が腰の引けたものであればあるほど「逃げる、隠す、ウソつく」の印象を濃くしてしまう。時間は十分にあったのだから、「事実確認・原因究明、対応策、再発防止策」と、責任の所在の明確化をセットにして一気に訂正とお詫びをすれば、これほどまでに信用を毀損することはなかっただろう。もちろん、これは多くの企業にも当てはまる。

   慰安婦報道関連では、8月5日の検証記事の段階で、今回の会見で公表したお詫びや経緯説明などを行っておけば、ここまで事態は深刻化しなかったのではないか。また、一旦は不掲載となった池上彰氏コラム(8月29日付を予定)が、9月4日付で「慰安婦報道検証 訂正、遅きに失したのでは」との見出しで載ったが、掲載見合わせの詳しい説明をしなかったため批判を招き、9月6日付でようやく「読者の皆様におわびし、説明します」と題する記事を掲載した。「情報を小出し」の悪いパターンの典型例だ。

管野 吉信(かんの・よしのぶ)
1959年生まれ。日刊工業新聞社に記者、編集局デスク・部長として25年間勤務。経済産業省の中小企業政策審議会臨時委員などを務める。東証マザーズ上場のジャパン・デジタル・コンテンツ信託(JDC信託)の広報室長を経て、2012年に「中堅・中小企業の隠れたニュースを世に出す」を理念に、株式会社広報ブレーンを設立。
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