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「会社の電話取るのは新人」は、古い常識? 共用受話器に「生理的拒否感」もつ若者も

   新入社員に、電話対応を任せる会社は少なくない。お客様や、他部署からの電話にしどろもどろになり、苦労した人もいるだろう。「新人が電話を取るのは当たり前」、そんな風潮に、疑問を呈する人もいる。

新人に「雑用」を押し付ける風潮

電話、鳴ってるよ
電話、鳴ってるよ

   Q&Aサイト、「教えて!goo」には、「『代表電話は新人がとるもの』という風潮がありますが」という投稿があった(2013年2月8日)。投稿者は、「新人は会社の事をよく知らないし、電話を出たところで引き継ぐしかなく、時間の無駄になるため、新人は電話に出ない方が良いと思う」と主張する。

   確かに、すべての電話に新人が対応していると、非効率なこともある。先輩や上司に「引き継ぐだけ」では、本来、覚えるべき業務がおろそかになってしまうかもしれない。

   回答者からは、「私が入社した25年前はそうでした。電話に出て、要件を聴いて、それなりに転送するのは結構、手間なんですよね。今は時代が変わり、新人に電話は取らせません。あなたの言うように、新人は会社の事よく知らないし、可哀そうなどという空気があります」と、一定の理解を示す声も寄せられた。また、「面倒で金稼ぎに直結しないイメージの強い雑用は新人に押し付ける、という空気がある」と、「電話の取次ぎ=新人の雑用」とハッキリ言う人もいる。

   一方、多くの回答者は、「新人が電話に出るのは、トレーニングの一環」との考えだ。「電話の取次ぎをやっていれば、日ごろどんな相手と関わりがあり、職場の誰がどんな仕事をしているのかが大まかに見えてきます。会社のことをよくわかっていない新人だからこそ、積極的に電話をとって会社のことを理解する手段のひとつとするべきです」という意見がほとんどを占めた。

「なるほど~これも時代か・・・」「働く気あんのか?」

   新入社員が電話対応を苦手とする理由は、「育った環境にある」と指摘する人もいる。人事コンサルタントの小笠原隆夫氏は、「All About News Dig」に寄せたコラム、「若手社員が会社の電話を取ろうとしない、2つの意外な理由」(2014年9月24日配信)で、次のように分析している。

   それによると、幼少期から、1人1台の携帯電話が当たり前だった若者たちとって、「電話」は基本的に「知っている相手から自分あてにかかってくるもの」という認識。そんな彼らが、社内外の知らない人からの電話で「いきなり話すことは、あまりにもハードルが高い」という。

   彼らは「ナンバーディスプレイ」が普及した世代でもあり、「知らない番号には出ない」という習慣が身についている。『固定電話は自分が出るものではない』という考えもあるらしい。

   そんな今の若者にとって、電話は個人か、もしくは家族や友人など、親しい間柄だけで共有するものだ。だから、「会社で中高年の上司やその他の誰かが、口や耳を近づけていたものを触ることが生理的に嫌」と感じる若手もいるという。小笠原氏は、そんな若者たちの心境を理解し、「『これは仕事だから我慢して電話に出ろ!』とは、少なくとも私はなかなか言えない」と、理解を示す。

   記事は、フェイスブックを中心に拡散され、様々な反応が寄せられた。「なるほど~これも時代か・・・」という人もいるが、多くの人は、「自宅の電話と会社の電話は違うということから、教えないといけないのか・・・」「てか、働く気あんのか?」と、電話を取る・取らないをめぐる『若者の意識の変化』に、怒りを覚えたようだ。(KH)