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嫌な仕事から逃げると、逆に仕事に追われ続ける

   2014年は、11月7日に社会保険労務士試験の合格発表がありました。

   私の周りで4人が受けて2人が合格し、2人が残念ながら不合格となってしまいました。

   社会保険労務士の合格率は5~9%台です。最近は難しくなってきていて、働きながらですと3回位で合格するのが標準のようです。

   私は、合格した方から連絡があって初めて知ったのですが、人事労務に全く関係のない仕事をしているのに社労士を受験して、1回で合格された方がいました。

「資格を取れば安泰」、ではなかった

会社を辞める前に・・・
会社を辞める前に・・・

   その方は営業をやっていて、私の顧問先で取引をされています。

   私が顧問先で社員に研修をやっている時に、研修を見ていました。

「社労士ってこんなことをやるんだ!素敵な仕事だな」

と思い、仕事生活がマンネリ化してくるなか、新たにやってみたいと思うことが見つかったようです。

   社労士を受けるきっかけは、これだったそうです。

   でも、それで1回で受かってしまうのですから凄いですよね。

   私は20代、30代で自分がやりたいと思う仕事を見つけられる人は、少数だと思います。

   たまに

「今の仕事にやりがいを見出せません。自分がこの先どうしていけばいいか悩んでいます」

と相談を受けることがあります。わりと30代前半の方が多いかもしれません。

   実は、私もそうでした。遡ると大学4年生の時になります。

   普通は3年生の後半になると就職活動を意識しだし、面接等を受け始めると思います。しかし、私はやりたい仕事が全く分からなかったので就職活動をしませんでした。

「就職もできないとなれば独立するしかないな・・・」

と考え、すぐに思いついたのは資格を取ることでした。

   どれが良いか選ぶ時に、数ある資格の中で残ったのが社会保険労務士でした。

   仕事内容、難易度、何を勉強するのかもよく分からずに受けることにしました。

   選んだ基準は「自分が合格できる試験」でした。社会保険労務士の試験はマークシートだから、自分でも受かる可能性はあると考えたのです。

   そして独学で猛勉強の末、2回目で合格することができました。

   いきなり独立するにしても、社会人経験は必要なんじゃないか?

   独立はいつでもできるし、まずは会社に入ってサラリーマンをやった方が良いかもしれないな。合格率8%台の難関国家資格を取ったんだから、就職なんてすぐ決まるだろう。

と思い、就職活動をしましたが、全然上手くいきませんでした。

   「資格を取れば安泰」というようなことを資格の学校のパンフレットによく書いてありますが、

   それは幻想だったんだな、と思ったものです。

辞めるのは簡単ですが、その前に少し頑張ってみませんか?

   そしてやっと入れてもらった会社の人事に配属されましたが、仕事がつまらなくて1年で辞めてしまいました。その後も社労士事務所や会計事務所に入りましたが、長続きせず6か月、3か月で辞めてしまいました。この時の私は28歳で、

「社労士の仕事ってつまらないな」

と思っていました。

   でも「せっかくあんなに苦労して取ったんだから、もったいない」と思い、最後の転職を考え企業の人事部に勤務ました。

   そこで3年3か月働かせてもらいましたが、がむしゃらに仕事をしていくうちに、仕事にやりがいを見出し、自分の専門分野もできてきました。

   この時に初めて「社会保険労務士を取って良かったな」と感じたものです。

   24歳で資格を取ってからそう思えるまでに5年かかりました。

   自分のやりたい仕事に就くまでには、乗り越えなければならない壁が出てきます。

   私は、どこに行ってもやらされる社会保険の手続き業務が嫌で仕方ありませんでした。

   それが嫌で会社を辞めてきたのです。

   最後の会社でも、当然やることになりました。

   しかも、今までと比べ物にならないほどのボリュームでした。

   社員数800人の手続き関係を1人でやらなければならなかったのです。

   入社してすぐに嫌になり、辞めようかと思いましたが、それでは今までと変わらないと思い、「とにかくやってみよう」と前向きに取り組んでいくと、だんだんできるようになってきて面白くなってきました。社内で一番詳しくなったと思います。

   今までやりたくなかった仕事に真面目に取り組んだら、その仕事がきっかけで次のステージがやってきて、新たな仕事にチャレンジすることができました。

   こうして仕事のやりがい、面白さが分かってきたのです。

   ここで思ったのは、

「仕事から逃げると、ずっとその仕事に追われるんだな。嫌な仕事でも真面目に取り組むと仕事の面白さが分かってくるんだな」

ということです。

   目の前の仕事から逃げたい、仕事がつまらないという人はいると思います。

   それは仕方がないことです。辞めるのは簡単ですが、その前に少し頑張ってみませんか?

   ひょっとしたら新しい発見があるかもしれません。(野崎大輔)