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部下を育てる「叩き方」 「勘違いな俺様社員」防止法その2

   前回(「ハイパフォーマー社員を「勘違いな俺様社員」にさせない対処法 その1」)の続きです。上司や先輩は、問題があっても成績の良い部下を注意する、ということはなかなかできません。その部下よりも成績が良くないのであれば、なおさらそうでしょう。本当はそういう状況であっても注意できることがベストですが、なかなかできる人はいないというのが私の実感です。

   会社では、上司と部下は一時的な関係性ではなく継続的な関係です。人間関係が崩れるとそのまま引きずることになるため、それを恐れて注意できないということもあります。一方、私のように外部の人間は、社員ではないので関係がずっと続くわけではありません。だから、会社の人は言いにくいことを外部の人間が代わりに言うというのは、私たちの役割なのではないかと思っています。

「あいつ最近調子に乗ってるな」

鍛えるわよ
鍛えるわよ

   さて、前回取り上げたような若手社員をどのように指導していけば良いのでしょうか。

   実は急に成績が上がった人は、自分だけの力で目標を達成したと思っている人が多いようです。自信を持つようになることは良いことですが、自信過剰になるとだんだん周りからも「あいつ最近調子に乗ってるな」という風にマイナスの感情を持たれるようになります。

   自分だけで成果を出したというのは大きな勘違いで、見えないけれど様々な人の助けがあって仕事が成り立っているということに気づいていません。

   まずはそこを気づかせることからになります。

   私は、彼に対し「君はよく頑張っているけれど、自分だけの力でできたの?」という質問をしました。

   当然彼は、そうではないと言います。

   私は、ホワイトボードに彼の周りにどのような部署や人がいて支えてくれているのか、ということを書いていきました。こういうことは言葉だけで伝えるのではなく、図などを使って視覚化していった方が伝わりやすいです。そして

「まだ今は良いけれど、このままだと誰も助けてくれなくなるよ!」

と伝えました。彼を苛めるためにやったわけではなく、良くなって欲しいということで 言いました。1時間近く話していたと思います。その内容をまとめると、次のような流れになります。

(1)今までの成果は認める
(2)「何で達成できたのか?」を確認する
(3)勘違いを正す
(4)励まして終える

   これだけ見ると、当たり前だと感じる人が多いと思います。

   しかし、対象となる人のパーソナリティを把握し、どこまで踏み込んで話していいか、どこまで強く言って良いかということを考えながら進めていくので、実は、よく人物を観ていないとできません。下手をするとやる気が無くなったり、悪い方向になったりしてしまうこともあり得るので、伝え方は慎重にやるように考えています。

刀作りに例えると

   管理職の重要な業務の1つに人材育成がありますが、部下を育てるには部下のことを知らなければなりません。部下のことを知るためには、部下のことをよく観ている必要があります。

   部下を育てるには褒めるだけではダメで、『叩く』ことも必要です。

   私は『叩く』を刀の作り方に例えています。

   まず刀の材料となる塊に熱を入れます。そして叩いて整形していきます。熱を入れて叩くのを繰り返して丈夫な刀が出来上がります。

   これを人材育成に例えるならば、『熱入れ』は想いを伝えたり、やる気が出るように励ましたりすること、『叩く』は試練を与えたり注意指導したりすることだと思います。

   『熱入れ』と『叩く』を繰り返して部下の人格を形成して育てていくのではないでしょうか。優しさと厳しさの両方で接していく必要があるということです。

   厳しくするとパワハラと言われたり、やる気をなくしたりするのではないかと腰が引けている管理職の方は多いです。でもそれは日頃から信頼関係が築けていれば大丈夫です。

   部下に信頼されていれば、厳しいことを言っても感謝されるはずです。

   実際に上司と良い関係性を築けている人は、厳しいことを言われても「悪い所を注意してもらって良かったです。ありがたいです。」と言います。

   では、信頼される管理職とはどういう人なのでしょうか?

   次回は信頼される管理職についてお伝えしたいと思います。(野崎大輔)