2024年 4月 19日 (金)

ホリエモン「長期修行不要論」の本質 寿司めぐる「世界の現実」を直視する

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   ホリエモンが、寿司職人の10年超にも及ぶ長い修行期間について、「今時、イケてる寿司屋はそんな悠長な修行しねーよ。センスの方が大事」と発言して話題になっている。過去にも、コロンビアで寿司屋をやりたいという人にたいして、「寿司アカデミーで学べば、数か月で握れるようになる」と答えるなど同趣旨の発言をしていることから、持論なのであろう。

   ちょうどこの話について、米国で日本食レストランをやっている友人が触れていた。

   彼のところで鮨職人として雇っているのは中国人と、中東系。中国人はともかく中東系のひとが鮨を握るのはあまり想像がつかないが、それなりに人材がいるのだという。

   そして驚いたのは、彼ら自身は、生魚は好きではなく、べつに寿司なんぞ食うこともあまりないらしい。生魚が嫌いで、寿司も食べないのに、寿司の職人をやっているというのは全く理解できないとおもうのだが、そういうものなのだそうだ。

食っていくための手段

寿司が世界に広がった理由は・・・
寿司が世界に広がった理由は・・・

   寿司の技術自体はホリエモンのいうように3、4か月もアカデミーで習えば習得できるし、外国であれば、もっとなんちゃってな寿司でも通用するだろうから、修行期間は短くてすむ。それでいて、寿司職人は、相対的に数が少なく、たとえば中国人にとって中華を作るよりも、より高い給与をもらうことが出来る。だから、3、4か月アカデミーでまなんで、寿司を作るようになる。とても単純なロジックである。

   だいたい現地の寿司の職人は、経験はせいぜい1、2年くらいが普通、なんらめずらしいことではない。彼らにとって寿司を握るとは、職人の技術と伝統など関係なく、ほんとうに食っていくための手段なのである。

   寿司の話とは少し違うが、アメリカは食べ物が高い。先の友人店で提供している最も高いラーメンは19ドルだそうだ。といってもフカヒレが入っている、といった特別なものではなく、普通のチャーシューラーメンである。

   19ドルに、税金とチップを加えると、日本円では3000円程度になる。

   ラーメン1杯3000円。これがアメリカの都市部の現実の値段である。

   来日した彼もまた、

「日本は物価が安い。食べ物は、半額から、1/3の値段だ。やすいやすい」

と、先日のシリコンバレーからの客と同じことをいっていた。やはり日本の物価は、本当に安いのだろう。

大石哲之(おおいし・てつゆき)
作家、コンサルタント。1975年東京生まれ、慶応大学卒業後、アクセンチュアを経てネットベンチャーの創業後、現職。株式会社ティンバーラインパートナーズ代表取締役、日本デジタルマネー協会理事、ほか複数の事業に関わる。作家として「コンサル一年目に学ぶこと」「ノマド化する時代」など、著書多数。ビジネス基礎分野のほか、グローバル化と個人の関係や、デジタルマネーと社会改革などの分野で論説を書いている。ベトナム在住。ブログ「大石哲之のノマド研究所」。ツイッター @tyk97
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