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メンタルヘルス史上の大変革 「ストレスチェック義務化」を考える

   知っていますか?2015年12月1日より「ストレスチェックが義務」になること。マイナンバー制度に隠れて、目立ちませんが、あなたも年1回は受ける必要が出てきます(希望者が中心です)。当面、50人以上の従業員が働く事業所に義務付けられています。

   もちろん、会社だけでなく「働く人」がいる「すべての対象事業所」が対象になります。病院、学校、保育園、幼稚園、介護の事業所、市役所、警察、消防等々に適用されるのです。

どこが変わるのでしょうか?

ストレスがたまるな・・・
ストレスがたまるな・・・

   1年以上前となる2014年6月に「労働安全衛生法改正」が衆議院で可決されました。ここにストレスチェック義務化が誕生しました。安保関連法案等の政治日程にまぎれてか、これまで、マスコミではほとんど注目されていなかったという印象です。

   この改正には、どのような意味があるのでしょうか。これから少しの間、話がちょっと難しくなりますが勘弁してください。今までは、健康診断の対象は「肉体的健康」だったのです。具体的には「労働安全衛生66条」の定める「事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断(精神的健康の状況に係わるものを除く・・・)を行わなければならない」としていました。ここに同66条に以下の10項が新規追加され「事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師または保健師による心理的負担の程度を把握するための検査を行わなければならない。(以下条文は省略)」となったのです。

ストレスチェックの測定対象はなんですか?

   これはメンタルヘルス史上大変革といっても過言ではないのです。みなさん。健康診断の対象は、疾病を予防発見するためですから、生理学的な、自然科学的な対象だったのです。

   それが今回、初めて「心理的」な対象が入ってきました。

   つまり「心の健康診断」が導入されたのです。

   会社も、社員も、義務化されるのですから、これからは否応なく、ストレス対策と無縁でいることはできません。

   この「大変革」を本当の意味で生かすには、誤解だらけの「ストレス対策」を正しく理解し、会社は「会社の発展と社員の幸福のために有効活用する」ことが求められます。社員の皆様は、カレル博士(ノーベル生理学・医学賞受賞者)のいう「これからの時代、誰もが正しいストレスに対する戦略を持たなければ生き残れない」の箴言を尊重し、間違いだらけの「ストレス解消法」を改める必要があるのです。(佐藤隆)