J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

東京オリンピックは日本を救わない 「じり貧」状況下の個人サバイバル法

   以前のコラムで、中国の雑貨屋「MEISO」がいろいろ不思議(?)な面はありますが、品質が非常に高く、中国製品の質に関するひとつの変化ではないかという話をしました。

   実際、白物家電では、東南アジアでも、北米・南米でも、何年も前から韓国や中国製品がシェアNo1となっており、日本製品は後塵を拝しています。

   「日本製品は、世界最高」という感覚は、物によってはかなり薄れてきているのです。

   これは、経済全体にも言えることです。

GDPで比べてみると

東京オリンピックは2020年夏
東京オリンピックは2020年夏

   先日、日本に帰ってテレビを見ていたときに、テレビで取り上げられている日本の印象と、現実の数字でみた日本の印象が大きく違っていたことに違和感をもっています。

   そもそも、我々の世代は、「日本は世界第2位の経済大国」と言われ育ってきました。テレビで言われている日本の「現状」も、いまだそれに近いものを感じます。しかし、2015年現在、日本の経済規模は世界第2位ではなくなっています。

   GDP(国内総生産≒国の経済的な大きさ)は、2010年頃中国に抜かれてからというもの、その差は大きく離されており、2015年予想値で日本を1とすると、アメリカが3.7、中国が2.3となっています。

   つまり、圧倒的1位のアメリカ。圧倒的2位の中国。そして、日本はドイツ、イギリス、フランスなどと一緒の3位集団の一員となっているわけです。

   ちなみに、2000年は、アメリカに次ぐ2位。3位のドイツの2倍以上の圧倒的な第2位でした。(当時、中国は日本の約1/4)

日本は「上位集団には入っている、ちょっと豊かな国」

   もちろん、中国は日本の10倍以上の人口がいるからそうなっているわけですが、国民1人あたりの(名目)GDPでみてみても、日本は世界で187か国中27位(2014年)です。

   トップ層は、ルクセンブルクやノルウェー、カタールなどの人口数百万人以下レベルの小さな国ですが、日本はアメリカ、カナダ、イギリス、フランスなどの数千万~数億人の大国と比べても負けています。

   それどころか、イタリア、スペインなどとほぼ同じで、すぐ後ろに韓国や台湾も迫ってきています。

   ちなみに、2000年の一人あたりのGDPは第4位。アメリカよりもひとつ上でした。

   つまり、2015年の日本は2000年と比べて、「国の経済的大きさは圧倒的2位から、3位集団に転落した国」であり、「国民一人あたりの経済的豊かさは、世界トップクラスから上位集団の真ん中くらいレベルまで転落した国」なのです。

   2015年に話題になった安保法案も、「スゴイ金持ちだから特別に派兵しなくても許してもらえた」という状態から「普通の国なんだから、普通に派兵しろ」という話になったと考えるのが自然でしょう。

個人がとれる選択肢はたくさんある

   近年、貧富の差が開いた、貧困問題が出てきたという問題も、「スーパー金持ちだから、貧しい人も豊かな生活を送ってもらうことができた」から「お金がなくなったから助けきれなくなった」というのが現状だと思います。

   そして、日本はこれから少子高齢化がさらに加速していきます。

   20-64歳の「税金を払う人」が減り、65歳以上の「年金をもらう人」が増えるなかで、経済的に豊かになるというのは非常に難しいわけです。はっきりいって、Cool Japanとかおもてなしとか東京オリンピックでどうにかなるレベルではありません。

   年明けそうそう、非常に救いのない内容なのですが、おめでたい雰囲気の中、改めて自分たちの置かれている現状を分析してみるのもいいかなと思います。

   そして、「今はそこそこ豊かだけど、なにもしないとだんだん貧しくなっていく国」で、これからどうやって生きていくか、をしっかり考えて行くことをおすすめします。

   大丈夫。今は、そこそこ豊かなので、個人がとれる選択肢はたくさんありますよ!(森山たつを)