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「海外で働きたい日本人」へのニーズ タイの現状は?

   前回、インドネシアでの日本人人材に関する記事を書きましたが、他の国はどうなのでしょう?

   賃金が日本よりも高く、ビザの取得も難しくなったシンガポール。

   案件数が非常に多く、活性化しているベトナム。

   この傾向は2016年も変わっていないようです。

景気、失業率、賃金は?

現地駐在員をめぐり変化も
現地駐在員をめぐり変化も

   さて、ここ数年、政治的な混乱もあり、波乱含みのタイはどうなのでしょう?

   パソナタイランド、アシスタントマネージャー 森垣美季さんにタイの現状について聞いてみました。

「タイ経済の景気については、暗い話題が多いです。 金融機関が自動車ローンの審査を厳しくしたこともあり、国内自動車販売が大きく下がっており、自動車産業が不調です。
   また、干ばつがあり、農業にも大きな被害が出ています。さらに、個人消費全体も落ち込んでいます」

   その様な状況なので、雇用の方もさぞかし深刻なのかというと、そうでもないようです。

「タイは、元々失業率が1%を切るような状況だったのですが、それは2016年も変わっていません。2015年度の失業率も0.8%であり、いまだ売り手市場です」

   この失業率の低さは(統計の取り方もあると思いますが)2004年に2%を切って以来下落傾向で、2011年からは1%を切っています。

   失業率が低いだけで、賃金は減っているのかというと、こちらの方も、そうでもないようです。

「賃金上昇は止まらず、平均の賃金上昇率は5-6%と言われています。日系企業で日本語がビジネスレベルで話せる課長以上の給料は8万3000バーツ(約26万円)と、かなり高くなっています。2016年はさすがに陰りが見えてくるかもしれませんが」

日本人の雇用状況は

   このように、景気は暗雲が立ちこめているものの、雇用の面はあいかわらずの好調であるタイ。雇用が景気の遅行指標だからなのか、今後のASEAN統合を見据えてのものなのかは分かりません。

   最後に、タイでの日本人の雇用状況について聞いてみました。

「景気低迷から一部採用を手控える動きがあります。しかし、日系企業の現地化の大きな流れと景気低迷によるコストダウンの必要性からコストのかかる現地駐在員を減らして、そこに現地採用の日本人マネージャーを代替要員として採用するというニーズは増えています。
   そんな背景から日本人の求人は現状以上に増えていくものと思われます。パソナタイランドとしても、タイで働きたい日本人、大募集中です」

   景気が悪そうでそうでもない、政権が混乱しているようでなんとかなっている、そんな不思議な国タイ。

   住みやすさは東南アジアでも屈指ですので、海外で働く事を考えている人は、是非一度訪れて見てください。(森山たつを)