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仕事するのがそんなに偉いか 「昼休みは休め」に論争ぎすぎす

   労働基準法34条第1項には「使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない」とあり、同第3項には「使用者は、第1項の休憩時間を自由に利用させなければならない」と定められている。言うまでもなく休憩は働く者の権利である。

   最近では、「眠気をコントロールするほうが仕事の効率が上がる」と、「昼休み3時間」のシエスタ制度を取り入れているITベンチャー企業もあるという。

   ああ、それなのに――昼休みを「自由に利用」して仕事を続ける人がいる。

落ち着いて休んでいられない

休めるなら休めばいいじゃないか
休めるなら休めばいいじゃないか

   Q&Aサイト「発言小町」に「昼休みに仕事をする人は偉いの?」という投稿が寄せられている(2016年8月5日)。書き込んだ女性によると、昼休みに仕事をする人が職場におり、そのせいでゆっくり本を読むこともできず、落ち着けないのだという。

「その人に対して周りは『大変だね』『いつも頑張ってるから』と声をかけるのですが、そもそも休む時間じゃないんですか? 法律で休むようにいわれてるんだから私の方が正しいんですよね?」

と、投稿者は憤懣やるかたない。

   この書き込みに対し、

「仕事が終わらないほど個人に仕事を振り分ける会社が悪いでしょうね。もしくは、その人の能力の問題か」
「うちの会社では休み時間も仕事をするのは、仕事と時間の管理ができないダメ人間という位置づけ」
「昼休みに仕事してる人は『けじめのない人』だとは思う」

と、投稿者に同調し、休憩を取らない同僚の能力や「けじめのなさ」を疑問視する声が次々に届いた。

別に偉くはないけど...

   その一方、「自分も昼休みに仕事をしている」という人もいて。

「家庭の事情で残業できないので、朝も30分ぐらい早く出勤して仕事します。昼休みも、食事が終わったら仕事します。偉いとか、正しいとかではなく、そうせざるを得ないのです。見逃してください」
「私は好きで仕事してますけど。静かで、電話、来客もないからはかどります」
「私も昼休みに仕事します。定時に帰りたいので」

と、それぞれ個人的な事情を訴えている。

   中には、投稿女性の「私の方が正しいんですよね?」という、いささか押しつけがましい口ぶりにかちんと来た向きもあったようで、

「正しいとか正しくないと論じるような問題ではないですね。自分がいたたまれないからといって他者を悪者にする必要はないのでは?」
「必要なことをする(残業をしたくないとか、納期に間に合わせる)だけの話でしょ? 法律うんぬんや、どっちが正しいとかの話ではないですよ」
「別に偉くはないけど、昼休みに何したって良いのでは?」

と、売り言葉に買い言葉。ぎすぎすしたムードが漂った。

   しかし、これらの反応に対しても、投稿者は黙っていない。

昼休み3時間の職場では

「昼休みに仕事してる人に限って勤務時間は無駄なことしている気がします」
「私は比較的、締切もタイトな技術系のため、昼休みはしっかり休まないと仕事にならない」

と突っぱね、さらに、

「ブラック企業がなくならないわけだ。こんなにたやすくタダ働きをしてもらえるのなら」

と一歩も退かない。

   さて、気になるのは、冒頭で触れた3時間も昼休みがあるITベンチャーだ。昼寝をしている人と昼休みも働く人との間に、こうしたトラブルが起きていないだろうか。

   ウェブマガジン「瓦版」の記事によると(2014年4月15日)、3時間の昼休み「シエスタ」を導入しているITベンチャー「HUGO」では、「用事があるなら、シエスタの時間に休まず、仕事に注力し、早めに帰ればいいだけなのである」。つまり、シエスタは「極めて合理的な就業効率最大化のための『弾力時間』」なのだそうだ。それなら、余計な摩擦など心配なさそうだ。

   働き方は人それぞれ。お互いの事情を認め合うと、人間関係も少しは円滑にいくのではないか。(KM)