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人事評価にひびく会議での発言 空気読みながら考えるべきは(高城幸司)

   会議とは(仕事の)関係者が集まって相談をし、物事を決定する機会です。職場には様々な目的で会議が存在します。その会議に、あなたはどのような意識を持って参加していますか?

  • 会議にはどんな意識を持って臨めばいいか
    会議にはどんな意識を持って臨めばいいか
  • 会議にはどんな意識を持って臨めばいいか

会議への取り組みが評価に影響

   ちなみに調査によると、会議等の全体業務に占める割合は15.4%。会社の会議について感じている印象は「無駄な会議等が多い」「時間が長い」「頻度が多い」とネガティブな意見が大半(NTTデータ経営研究所調べ)。ゆえに、会議中も意欲なき状態で参加しているのではないでしょうか。取材した広告代理店勤務のSさんは、

「聞いているフリはしながら、内職(別の仕事)をしています」

と本音を語ってくれました。Sさんのように参加しているのに心ここにあらず......の人はたくさんいることでしょう。

   ただ、会議参加への取り組み状態は自身の人事評価に大きく影響をもたらしている可能性があります。管理職に取材すると、部下に対する人事評価の一環で会議への参加意欲に注目しているとの声をよく聞きます。普段の仕事に対する取り組みだけでは把握できない部分を「みておきたい」との思いからのようです。

   なかでも発言の機会への注目度は高いものがあります。何を発言したか、あるいはその発言が会議でどのような影響をしたか、自分が参加していない会議で部下がどのような発言をしたか、に注目して追いかけている上司はたくさんいます。

   人事評価のためだけに頑張れとは言いませんが、それだけ会議への取り組みは大事ということです。そこで会議での発言を効果的にするためのヒントを紹介したいと思います。

どのような立ち位置で話すべきか

   そもそも会議においては「自分はどのような役割を担ったらいいのか」を考えて、その役割を演じることが重要です。場の雰囲気を乱さずに気の利いた言葉を発するべきか、または自分の意見を積極的に言うべきか、はたまた、まとめていく方向に話し合いを導くべきか。自分がどのような立ち位置で話をすべきかを、その場の空気を読みながら考える必要があります。

   とはいえ、考え過ぎるのもよくありません。皆さんも一度は経験されたことがあるかと思いますが、会議で「何かを言おう、言わなくちゃ」と意識するあまり、ひと言も発せずに終わってしまうこともあります。大縄跳びの輪に自分も入ろうと機をうかがい続けて、結局最後まで入れないような状況です。「何かを言わなければいけない」という強迫観念を持って会議に参加している人がいますが、「何かを言わなければ」という立場だと、かえって発言すること自体がすごく難しくなってしまうものです。

   そんな時は、人の意見に対して肯定的な発言をすることから始めてみてはどうでしょうか。例えば、

「さきほどのGさんの意見は斬新でいい案だと思いました」

ということを、手を挙げて言ってみるのです。いろいろな意見が出て議論が紛糾してしまった場面では、

「意見が錯綜していますが、ここまでの議論をまとめると......」

と、まとめ役を買って出るのもいいでしょう。このように、「自分なりの役割を持って話をしよう」と心がけることで、会議にずいぶん参加しやすくなります。

   過剰なアピールや自分の知識をひけらかすような発言など不要です。会議は基本的に「賛成か、反対か」を確認する場であって、個人の体験談や自慢話を披露する場ではありません。前提として、「自分のことを話そう」という意識は捨てるべきでしょう。会議で何かを発言する時、「自分のため」と思って話していると、聞いている人はその内容に同意しづらいものです。

   逆に、「人のため」と思ってする発言に対しては、仮にその話が少し見栄を張っていたとしても、聞く人の共感が得られやすいと思います。このように、話をする時は「自分のため」ではなく「他人のため」「将来のため」「この仲間のため」、主語は「私(I)」ではなく「私たち(We)」を意識するように心がけるといいでしょう。

   自分の発言が「利他(自分を犠牲にして他人に利益を与えること、他人の幸福を願うこと)」に当たるかどうか、を考えて話すのです。そうすれば、仮に話の内容は同じだとしても、周りから「何かいいことを言って格好つけようとしているな」という穿った見方はされにくくなります。また、仮にそう思われたとしても、共感性が高いので面倒なことになる可能性が低いのではないかと思います。(高城幸司)