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ひきこもり告白が胸に刺さる 髭男爵・山田ルイ53世の場合

   「ひきこもり」問題に解決の糸口が見えない。内閣府の「若者の生活に関する調査」(2016年9月7日公表)では、15~39歳の若者のひきこもり人口は推計54万1000人で、2010年の前回調査より約15万人減少したものの、近所のコンビニや趣味などの用事の時だけ外出する人の3割超が「7年以上続いている」など、ひきこもりの長期化が深刻になっていることが分かった。

   「ルネッサーンス」というネタでおなじみのお笑いコンビ「髭男爵」の山田ルイ53世さんも、ひきこもり経験者の一人だ。読売新聞(16年11月2日付朝刊)に過去を告白した記事が掲載され、話題になっている。

  • 自分を許すことが大切
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「引け目の利子」がたまり

   「有名私立中学に通い、近所で神童と言われてました」という山田さんは、2年生の夏休み前、「登校中におなかが痛くなり、ウンコをもらして恥ずかしかった」のをきっかけに学校に行かなくなった。

   「学校が遠く、部活して遅く帰って勉強して、ちょっと寝て学校へ行く、という毎日に限界が来ていたころでもありました」。休むと言うと父親からドロップキックされたという。

   「とりあえず1週間」休もうという気持ちでいたが、「1週間たつと、借金と一緒で引け目の利子みたいなのがどんどんたまる。ひきこもり状態は6年続きました」。

   「自分が最高潮だったとき思い描いた将来は絶対に無理」と思うと社会復帰できず、ひきこもる自分に「人生が余った」と思ったという山田さん。「自分を許してあげられなかった、あきらめてあげられなかった」ことで、長い間苦しんだ。

   同世代の成人式のニュースを見て焦り、大学入学資格検定(当時)を受検。愛媛大学の夜間に入学したが、「勉学の世界で負けたという思いが消えず、生きる土俵をずらそう」と、中退してお笑いの道へ進んだ。

「41歳ですけど、ひきこもってた分を差し引いて、僕の中では35歳ぐらい」
「6年間はムダやった。あくまで僕の場合は、ですけど。でも、そのムダが許せないのが一番問題なのかなとも思う」

と自身の過去を振り返り、

「みんながキラキラしてないとだめだっていうのはウソです。みんなが輝かしいゴールを切れるわけでもないのに、『みんなそうなろう』っていう風潮がありすぎる。なんにも取りえがない人間が、ただ生きていても、なんにも責められへん社会、いうのが正常です」

と訴える。

「本当に共感」「自分にも覚えが」

   自叙伝『ヒキコモリ漂流記』(マガジンハウス、15年8月31日発売)で、ひきこもりになった経緯を詳しく明かすなど、これまでにも過去を赤裸々に語ってきた山田さんだが、今回の読売新聞の記事で初めて知ったという人も少なからずいるようだ。ツイッターでは、

「山田ルイ53世さんが『この6年はムダやった、あくまで僕の場合はですけど』と、この期間をまっすぐ受け止めている事がスゴいと思う なかなか難しいもの 引きこもりの期間を受け止めるって」
「髭男爵の人が、過去の引きこもり時期をさっぴいて、自分は今40だけど中身は30歳だみたいなこと言ってて(髭男爵の実年齢とは違うよ)あー私もそうだなって」
「引け目の利子って表現が本当に共感できた。俺も大学入って半分引きこもりみたいな生活してるけど、講義にどんどん出づらくなるし、今も研究室行き辛い状況にある」
「山田ルイ53世の話は自分にも覚えがある。ズボラになるのを許してからラクになれた」

など、ひきこもり経験者や現在進行形の人々から、「共感した」「胸に刺さった」といった感想が相次いで投稿されている。(MM)