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舌噛みそうなメニューを逆手に 高級レストラン楽しむ「私流」

   こんな私でも、仕事のお付き合いで時々、高級レストランで食事をすることがある。ふだんは「一般庶民が分不相応なミエ消費をするなんてバカバカしい」とか思っているくせに、人に連れて行ってもらうときは、しなしなと笑顔でキャビアやらフォアグラやらを胃に詰め込んでいるのだから、我ながら浅ましい。そんなだから、高級レストランでは振る舞い方がよく分からずオドオドしてしまう。「自分など、ここにふさわしくないのでは」と不安になっているから、どう振る舞えばいいのか分からないのである。堂々と美味しい食事を味わうにはどうすべきか。

  • 「飲みやすさ」で選んではワインに失礼?
    「飲みやすさ」で選んではワインに失礼?
  • 「飲みやすさ」で選んではワインに失礼?

赤ワインだけ苦手なもので......

   まずはワインリストであるが、賢そうなウェイターを前にして、どれをどう頼めばいいのか分からない。高い酒の味が分かるほど舌が肥えていないにもかかわらず、良いワインを飲もうとしている罪悪感もある。とりあえず「飲みやすいのはどれですか?」と聞いてみるが、「味の違いではなく単なる飲みやすさだけで選ぶなんて、高いワインに失礼では」との思いが消えない。

   そこで開発したのが、「普段あまり赤ワインを飲まないのですが、初心者でも飲みやすいものはどれですか?」という改良型だ。これなら「普段はお酒を飲んでいるし、味もそれなりに分かるのですが、赤ワインだけが苦手で......でも今日はちょっと試してみようかなと思っているんです」という雰囲気が醸し出せる。

最も難解な料理選び「ふむふむ」

   メニューを渡されると、アラカルトにせよコースにせよ、何種類もある横文字の羅列から、最も食べやすそうでボリューム感もちょうどいいものを、数十秒で選ばなければならない。あれこれ迷っていると、ディナーの相手にも失礼だし、ウェイターとのコミュニケーションも難易度が高くなる。あれこれ尋ねすぎるのも田舎者っぽくていけないが、全く口を聞かず、目を合わせないのも失礼であろう。

   そこで考えたのが、「いちばん名前の難しそうなメニューについて質問し、ふむふむと納得した顔でうなずくのを1~2回やる」というスタイルである。

   「この『三陸産の魚介のカルファタ包み、カルトッチョスタイル』というのは、どのようなお料理ですか?」これである。メニューの中で最も難解そうな料理なら、どんな内容か聞いてもおかしくないだろう。ウェイターの説明を「ふむふむ」といった調子で納得して聞き、それを注文する。

   1回のディナーで何度もやると面倒臭がられる可能性があるので、1~2度にとどめる......と、自分なりに「高級レストランでもオドオドしない方法」を考えて実行しているが、本当はこんな小細工をせず、堂々と味わいたいといつも思う。(北条かや)