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【新シリーズ】さあ起業! のその前に、会社設立と個人事業主とどっちがオトク?

マジかよ! カス丸!!

   は~い。ボク、カス丸きゃすう。3年ほど前にお世話になっていた大先輩がフリーに転身。書く仕事に加えて、最近はコメンテーターとしても活躍しているじぇい。そんな先輩記者の姿を間近にして、ボクもこのまま崖っぷち記者で終わりたくないし、先輩のように独立して自分で仕事をしたい。
   先輩と時々飲みに行くと、「大変だけど、やりがいがあって楽しいよ」と言ってて、その姿にとても憧れ、自分もこんな風になりたいと思うようになったじぇい。
   そこで、今から少しずつ準備したいんできゃすう。先輩は、社長として会社を立ち上げて経営しているけど、「独立したいなら、まずは個人事業主としてやってみたらどうだ」とアドバイスをもらったんだじぇい。
   ボクとしては「会社」として編集プロダクションやその周辺事業をやっていきたいと思っているんだけど、個人事業主と法人の違いってどんなものなのか教えてほしいじぇい。

個人事業主と法人の違い「会社ならば、損失が繰り越せる」

   カス丸くんは現在の会社を辞めて、独立を考えているということですね。
   まず、会社を独立するためには、さまざまなことを決めていかなければいけません。カス丸くんのように、起業するなら個人と法人どちらがよいのか、と悩む人は多いです。    それでは、個人事業主と法人の違いを簡単にご説明しましょう。
   まず、法人のほうが個人事業主よりも社会的信用が高く、企業との取引や金融機関などからの融資も受けやすいと言えます。また、利益が一定以上になると予想される場合には、法人の方が税務上のメリットを受けやすく有利です。
   さらに、損失が生じた場合に、その損失額を繰り越して課税所得と相殺できる期間は翌年以降3年間に限られていますが、法人、たとえば株式会社では9年間(2018年4月1日以降は10年間に延長)繰り越せます。また、税率についても、個人事業主は所得が増えるに従って税率が高くなる「累進税率」であるのに対し、法人は「比例税率」が用いられているため税率は原則として一定です。
   また、債務の弁済ができない場合、個人事業主は個人の財産を差し押さえられる可能性がありますが、法人の場合は出資額の範囲で責任を負う有限責任であるため、連帯保証契約を結んでいない限り、個人の財産が差し押さえられることはありません。
   他にも、人材確保に有利といった観点や、所得と経営を分離できることから、本人が病気などで一時的に業務ができなくなってしまった場合であっても、ほかの人が代わって会社業務を行うことが可能などのメリットが法人にはあります。

個人事業主でラクラク起業!

   「法人にはいっぱいメリットがあるんきゃすね。じゃあ、法人のほうがいいかなぁ。『社長』って肩書もカッコイイし...... むふふ」

   もちろん個人事業主にもメリットがありますよ。まず、一般的に、個人事業主は届け出をすれば事業をスタートできるため、設立の手続きや費用が必要となる法人と比べて、ラクに起業することができます。
   また、個人事業主は従業員が5人未満の場合は社会保険への加入は任意となり、たとえカス丸くん一人であったとしても加入義務がある法人に比べて、費用負担の面で有利といえるでしょう。
   また、赤字となった場合に税負担がなくなることもメリットですね。さらに、事業用資金の使用目的に制限がないため、必要経費にはなりませんが私的な目的に使用しても特に問題はありません。
ちなみに、法人は赤字であっても課される税金(住民税の均等割)が最低でも7万円あります。つまり、税金の負担という面では、個人事業主にメリットがあるといえます。
   このように法人と個人事業主の違いは一長一短であり、一概に「どちらがよい」と言えるものではありません。やりたい事業内容、規模によって個人事業主か、法人を見極めていくことになります。

   ボクのような場合、どちらがいいのでしょうか。売り上げとか、損益分岐点とか、なにか判断材料がほしいじぇい。

   では、次回はそのあたりからお話ししましょうね。

【きょうのポイント】
(1)法人のほうが社会的信用が高く、企業との取引や融資の面や税務上のメリットが受けやすい。だたし、個人事業主は設立の手続きなどが簡単でラクに起業ができ、費用負担の面では有利。
(2)それぞれの違いは一長一短。やりたい事業内容や規模によって見極めるべし。