J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

カス丸「合同会社」の設立を決意! その理由は...... (その4)

   前回、税理士の兵藤先生がオススメしてくれた「合同会社」。ボクもすっごく興味を持ったきゃすう。株式会社より小規模事業向きってことだったけど、もっと詳しく教えてほしいじぇい!

合同会社ってなんだ??

   わかりました。株式会社との主な違いを、簡単にまとめたので、一緒に見てみましょう。

株式会社と合同会社の主な違い
株式会社と合同会社の主な違い

   まず、大きな違いは設立費用ですね。私の会計事務所に会社の設立をご依頼いただいた場合だと、株式会社を設立する場合、実費だけで最低20万2000円が必要となります。

   それに対し、合同会社の設立費用は最低6万円で済みます。いざ起業となると、カス丸くんも少しでも費用を抑えたいでしょうから、設立費用が14万円以上も違うことは、大きなポイントになるのではないですか?

   へぇ~! そんなに違うんきゃすか。これはありがたいきゃすう。表のほかにも違いがあるりきゃすか。それも教えてほしいじぇい。

   まず、手続きの「定款の認証」について説明しますね。定款とは、会社の基本事項を記載した、いわばルールブックのようなものです。会社名や事業内容、出資金(資本金)などの基本事項をベースに、事業活動の基本的なルールを記載します。

   株式会社ですと、定款を作成し、公証役場で認証を受けなければなりません。株式会社の定款には、綴じ方や押印方法など細かな作成ルールがありますので、注意が必要です。

   これに対して、合同会社は定款認証が必要なく、手続きの手間が少なくて済みます。法律に違反しない範囲で自由に規定でき、利益配分などについても、合同会社では、原則「出資者=経営者」となるため、所有と経営は分離しません。

   そのため、意思決定などが迅速にできて効率的といえます。また、決算公告の義務がないので、株式会社のように毎年決算書を公表しなくてよいのもメリットのひとつですね。

   ちなみに、決算公告の掲載にはお金が必要になります。

   合同会社は、出資者のすべてが、それぞれが出資した金額の範囲内でのみ責任を負う、というルールになっています。これを「有限責任」と呼びます。ただし、金融機関から借り入れをする場合、代表者の個人保証を取られることがほとんどですので、「有限責任だから安心」と安易に考えないように注意しましょう。この点は株式会社も同様です。

   それから、カス丸くんは「社長」という響きに憧れをもっていたようですが、残念ながら合同会社ですと「代表社員」という肩書になりますね。

カス丸、あこがれの「代表取締役社長」になれるのか?

   えっ、なんで? ボク、名刺に「代表取締役社長」って書くんじゃないの?

   カス丸くんの気持ちはとってもよくわかります。「代表取締役社長」ってカッコイイですよね。

   ただ、「どうしても『代表取締役社長』でなければイヤだ!」というのであれば仕方がありませんが、ここで説明したとおり、合同会社にはその「名刺」のチカラを上回るメリットがあると思いますよ。

   ちなみに、合同会社のデメリットとしては、やはり認知度の低さから取引や人材確保の面で株式会社より不利になってしまう可能性が高いですね。

   また、先ほどメリットとして説明した決算の非公開も、信用面においてはその不透明さがデメリットになり得ます。資金調達面では、株式会社は株式公開による増資が可能なのに対して、合同会社は株式が公開できません。

   ただ、決算非公開については、禁止されているわけではないので、公開することも可能です。さらに、合同会社の登記件数は右肩上がりで増加していて、なんとここ10年で10倍以上(法務省『登記統計 統計表』より)になっているんです。これからも増加が見込まれますから、今後、社会的な認知度が上がっていくことで金融機関などからの融資も受けやすくなっていくことが考えられます。

   なるほど! やっぱり、設立費用が安く済んだり、効率的に経営したりしていくことができる「合同会社」が、ボクにはピッタリだというのがよくわかったじぇい。

   合同会社を設立して、「代表社員」になるじぇい!

   よく決断してくれました! それでは、いよいよ事業計画を立て、創業への第一歩を踏み出しましょう。

   ええ~! まだ第一歩も踏み出してなかったきゃすか? 事業計画って大変そう...

   そのお手伝いのために、僕がいるんですよ。次回は、事業計画の立て方について見ていきますよ。一緒に頑張りましょう!

【ポイント】

(1)小規模経営向きの「合同会社」には、設立費用が安いことや手続きが少なく済むなどのメリットがある

(2)社会的認知度の低さが弱点だが、登録件数は上昇しており、今後も増加が見込まれる