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企業の賃上げ56.4% 過去最高も「大企業だけ......」と冷めた声

   帝国データバンクの「2018年度の賃金動向に関する企業の意識調査」によると、正社員の賃金改善が「ある」と見込む企業は56.5%(前年度は51.2%)にのぼり、過去最高を更新した。2月16日の発表。「ない」と答えた企業は18.4%にとどまった。

   賃上げを見込んでいる企業の割合が高い業種は、製造、運輸・倉庫、建設などで、背景には業績改善や人手不足がある。2018年度の従業員の給与や賞与は、総額で約3.7兆円(平均2.65%)増加すると試算している。

  • 企業の賃金アップ、約6割で「あり」だけど……
    企業の賃金アップ、約6割で「あり」だけど……
  • 企業の賃金アップ、約6割で「あり」だけど……

業績改善と人手不足が背景

   賃金改善の具体的内容は、ベースアップが45.4%で、2017年度と比べて5.1ポイント増えた。賞与(一時金)は31.8%で、3.0ポイント増となり、ベア、賞与とも過去最高を更新した。

   賃金改善の理由は、「労働力の定着・確保」が79.7%と4年連続で増加。人材の定着、確保のために賃上げを実施する傾向は一段と強まっている。また、「自社の業績拡大」が47.0%と、5年ぶりに増えた。

   改善しない理由は、「自社の業績低迷」が55.6%を占めた。「人的投資の増強」は20.2%と横ばいで推移した一方、「内部留保の増強」が17.9%となり、3年連続で増えた。

   とはいえ、インターネットのホームページ掲示板などには、

「連合の存在価値ってあるの? ねえ、あるの?」
「5年間で最低賃金たったの100円だもんなあ」
「まあ大企業だけだよな。町工場には関係ないわ」

   など、冷めた声が少なくない。

   なお、調査は1万161社が回答(回答率44.0%)。毎年1月の実施で、今回で13回目。

「生活は楽じゃない」

   一方、家計の消費支出は4年連続で減少している。総務省の2017年の家計調査(速報)によると、2人以上世帯の消費支出は月平均で28万3027円と、物価変動の影響を除いた実質ベースで前年より0.3%減った。2018年2月16日に発表した。マイナス幅は前年の1.7%より縮まったが、4年連続の減少となった。

   魚介類などの「食料」のほか、授業料などの「教育」、書籍など「教育娯楽」の減少が目立った。

   賃金は増える傾向にあるが、収入増が消費につながらない状況が続いている。

   インターネットには、

「食品は値上げばっかり。生活はまったく楽にならない」
「賃金が上がると、税金や福利厚生、厚生年金、退職金などの企業負担が増えるからなあ。上げづらいし、ちょっとくらい上がってもなぁw」

   など、食品や日用品の値上がりや、税金や年金、健康保険料などの負担増への不満の声がくすぶっている。