平井先生。ズバリ! サラリーマンの必要経費って、確定申告すると戻ってくると聞いたんだけど、本当きゃすか?
個人事業者や不動産収入がある方については収入金額から必要経費を差し引いたうえで所得金額を計算しますが、給与収入については必要経費というのが通常認められていません。
ただ、給与収入がある人について、仕事に必要な経費を個人で負担する場合にはその必要経費が認められる場合があります。これを「特定支出」といいます。
とはいえ、なんでも仕事に関係があれば必要経費として認められるわけではありません。必要経費として認められる支出の内容が決まっています。
通勤費、転勤に伴う転居費用、職務に必要な技術や知識を得るための研修費、職務に必要な資格の取得費、職務に関連する書籍などの購入、制服や作業着などの勤務先で着用する必要がある衣服費、取引先との交際費などが対象となります。
ただし、会社から補てんされるものや教育訓練給付金などで支給される金額を除きます。
また、これらの支出を必要経費として確定申告するためには、会社から証明書を発行してもらう必要があります。さらに、負担した必要経費のすべてが控除の対象となるのではなく、通常の給与収入に対して所得税を計算する際に給与収入から控除される給与所得控除の金額の2分の1を超える部分の金額が対象となりますので、かなりの経費を個人で負担しない限り適用は難しいと思われます。
なかなか難しいみたいだじぇい。でも、どのように申請するのか、教えてほしいじぇい。
特定支出を申請するためには確定申告が必要です。また、特定支出を申請するにあたっては、源泉徴収票、特定支出の明細書の作成、負担した経費の領収書、会社が発行した特定支出の証明書を確定申告書と一緒に提出する必要があります。通常の確定申告の際に手続きをしますので、確定申告書の提出期限は同じになります。
「会社からの証明書が必要」とのこときゃすが、どういうものならいいいのか、なにか「線引き」があれば教えてほしいじぇい。
特定支出については「職務に必要なもの」という前提条件がありますので、職務に必要のないものは会社も証明してくれません。会社に証明書の発行を依頼して作成してくれるかどうかもあります。
ちなみに、証明書のフォーマットは、国税庁のホームページに内容に応じた証明書のフォーマットがありますので、こちらを会社に提出し、証明してもらうことになります。
また、職務上必要な経費をかなり多く負担しているのであれば、特定支出の制度を利用するメリットがありますが、負担があまりないようであれば、そもそも申請するメリットもありません。
給与所得控除の金額を超える金額の経費を負担しているのであれば、確定申告することで所得税が戻ってくる可能性が出てきますので、金額的な判断基準としては「給与所得控除の金額」になります。
会社との関係や金額的なバランスをみて、申請するかどうかの検討が必要になると思います。
(おわり)