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銀行の「カネ余り」過去最大の278兆円 大手銀行の貸出伸び悩み

   銀行の「カネ余り」が広がっている。東京商工リサーチによると、国内114の銀行の2018年3月期の預貸率(預金残高に対する貸出残高の比率)は65.53%で、調査を開始した2011年以降で最低を記録した。6月8日の発表。預貸率が高い銀行ほど、貸し出しが伸びていることになる。

   預金と貸出金の差額を示す「預貸ギャップ」は、263兆円だった前年同期から15兆円膨らみ、過去最大の278兆円に拡大した。

  • 銀行、過去最大の「カネ余り」
    銀行、過去最大の「カネ余り」
  • 銀行、過去最大の「カネ余り」

伸びる貸出先は不動産・アパートローン向けにM&A

   2016年2月に日本銀行がマイナス金利政策を導入して2年が経過するなか、銀行の預貸率は年々低下している。2011年以降の3月期決算での預貸率の推移は、11年が68.59%、12年68.40%、13年68.00%、14年67.90%、15年67.74%、16年67.59%。17年は66.47%で、18年はこれを0.94ポイント下回った。貸出金残高は前年同期比で1.2%増だった。

   ただ、「地元密着」を強める地銀・第二地銀の多くが貸し出しを伸ばしており、預貸率の上昇が目立つのに対して、大手銀行は預金の伸びと貸し出しの減少から預貸率を低下させた。銀行の規模によって「まだら模様」をみせている。

   こうしたなか、貸し出しが堅調だったのは、不動産業・アパートローン向けや医療・福祉、企業の合併・買収(M&A)関連だった。

   その一方で、114の国内銀行の18年3月期の預金残高は、前年同期と比べて2.7%増。「預貸ギャップ」は、278兆4182億円に膨らみ、貸出金に対する預金の大幅超過が続いている。

   こうした「預貸ギャップ」の拡大は、マイナス金利導入後も伸び悩む、大手銀行などの貸出状況を反映しているという。