2024年 4月 21日 (日)

社長「好き嫌い」人事はやめて! 「M1」騒動に見る評価基準の難しさ(大関暁夫)

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   テレビでその年のナンバーワン漫才芸人を決める人気番組「M1グランプリ」で、特定の審査員の評価が自分の好き嫌いで決めているのではないかと、一部の漫才芸人がSNSで暴言を吐いて炎上するという事件が、世間を賑わせています。

   事の発端は、「M1グランプリ」審査員の元女性漫才師であるベテランタレントが、審査講評の中で特定の出演者に対する好き嫌いとも受け取れる発言を繰り返したことに、不愉快に思った出演芸人らが酔った勢いに乗じてSNSで彼女の悪口を言ったという流れです。

   この手の審査というものは、明確な基準がなく言ってみると審査員任せの評価になりがちです。完全「定性評価」とでも言うのでしょうか。中小企業の人事評価にも通じるところのある、人が人を評価することの難しさを絵に描いたような実例で見せられた思いです。

  • 人事を評価することは難しい!
    人事を評価することは難しい!
  • 人事を評価することは難しい!

M1審査は「ハロー効果」に陥った

   中小企業の人事評価の初期段階は、M1審査と同様の100%「定性評価」からスタートします。当初は、M1審査以上に独断になる社長の単独評価です。次の段階が、管理者と社長の複数評価者による定性評価です。

   社長、担当役員、部長と、3人程度の管理者が、「あいつは今期よくやった」「あいつはイマイチだった」と、それぞれがそれぞれの基準で感じるところに意見を出し合って最終評価を決める。そんなスタイルです。

   この段階までは、「定性評価」というと聞こえがいいですが、結局のところは鉛筆ナメナメ評価といえる状況なのです。

   一般的に言われる、陥りやすい「定性評価」の代表的エラーは、どこか1点に優れているものがあるとすべてがその評価に引っ張られがちになるという「ハロー効果」と言われるもの。自分の得意分野や専門分野に辛く、苦手分野や非専門分野に甘くなるという、対比誤差と言われるものなどがあります。

   今回問題になったM1の女性審査委員も、どうやらこれらに類する評価エラーがあったといわれても仕方のないところだったようには思えます。

   「定性評価」に偏りすぎた人事評価は、確実に不平不満が出ます。M1の場合のようにそれぞれキャリアやパーソナリティの異なる審査員を7人揃えることでバランスを取り、ある程度の公平感を測っているのだろうとは思われますが、やはり極端な評価をした人間がいるとわかれば、評価される側から不満が出ることは避けられないのです。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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