2019年 6月 19日 (水)

リスクはゼロじゃない! 「意味不明」な主張で国際競争に出遅れるニッポンの未来(小田切尚登)

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   日本人は完璧主義であり、「石橋を叩いて渡る」のが美徳とされる。この慎重な姿勢が、良質な製品のモノづくりを可能にし、日本経済の発展に大きく寄与した。

   しかし、過度な完璧主義には弊害が大きい。完璧でなければならない、というプレッシャーが強すぎると、人々はチャレンジをしなくなり、社会は停滞していく。

   手術に失敗はつきものだし、交通事故はゼロにはならないし、政府の政策は間違える...... 人間はさまざまな失敗を重ねて、問題を修正していくことによってのみ成長する。失敗を回避することを最重要と考える社会に未来はない。

  • 考えに考え抜いても……
    考えに考え抜いても……

中国の強さのヒミツ

   お隣の中国では、リスクに対する考えが日本とはかなり異なる。そこでは遺伝子治療でも、キャッシュレス化でも、AIでも、新しい技術をどんどん試していって少しでも早く実現しようとする姿勢がうかがえる。

   新しい技術がもたらす利便性は非常に大きいので、リスクがあったとしてもできるだけ早く技術を活用すべき、という発想だ。

   たとえば、中国では世界で初めて遺伝子を組み換えした赤ちゃんをつくり出したという報道がなされた。これは親のHIVウィルスを、子供に感染させないための措置であったという。

   これを「神をも恐れぬ行為だ」と非難することは簡単だ。しかし、自分の子供が遺伝により重篤な病気に罹る恐れがあるとわかれば、親がこのような措置を望むのは当然ではないか。医者が患者の望みを何とか叶えたいと考えるのも理解できる。日本でも、出生前診断でダウン症などが見つかったら、少なくない親が中絶の道を選ぶという。

   「だから問題ない」というわけでは、もちろんない。遺伝子組み換えは、非常に危険な技術だ。ほとんどの学者はゲノム編集に反対している。これが進むとアインシュタインやモーツァルトのような天才や100メートルを9秒で走れる人間をつくろう、といった動きが出てくる可能性がある。医者が行ったのは明らかに越権行為なのである。

小田切 尚登(おだぎり・なおと)
小田切 尚登(おだぎり・なおと)
経済アナリスト
東京大学法学部卒業。バンク・オブ・アメリカ、BNPパリバなど大手外資系金融機関4社で勤務した後に独立。現在、明治大学大学院兼任講師(担当は金融論とコミュニケーション)。ハーン銀行(モンゴル)独立取締役。経済誌に定期的に寄稿するほか、CNBCやBloombergTVなどの海外メディアへの出演も多数。音楽スペースのシンフォニー・サロン(門前仲町)を主宰し、ピアニストとしても活躍する。1957年生まれ、60歳。
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