2019年 12月 13日 (金)

現場との距離感 サラリーマン社長と創業社長の「口の出し方」はなにが違うのか?(大関暁夫)

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   先日、同じ日の午前と午後に企業規模の異なる二人の社長とお目にかかり、そのお悩みの好対照さがじつに興味深かったので紹介します。二人の社長とはともに60代前半。一人は東証一部上場企業のS社長、いま一人は中小企業の創業オーナーのT社長です。

   S社長は親子上場企業の親会社出身。親会社からの天下りで役員部長職2年を経て、トップに座り4年目です。順調な業績を続け、現状その地位は安泰なサラリーマン社長です。

   一方のT社長は、老舗で家業の一部門としてスタートしたIT通信系会社を自ら立ち上げて20年。現在は20~30代中心に200人を超える社員を従え、毎年増収増益を続けています。

  • 社長のお悩み…… 「ちょっと口出しがすぎるかなぁ」
    社長のお悩み…… 「ちょっと口出しがすぎるかなぁ」

サラリーマン社長がよかれと思い動いたことが......

   S社長とは一対一で、今年度(2019年度)の方針をうかがう目的で訪問。激動の時代を乗り切る年度方針について、力強い話をうかがっているうちに、徐々に内なるお悩み話に話題は移りました。

「当社は企画部門と営業部門の一体感がないのですよ。私は日常から、営業に同行して現場の情報を極力仕入れることに努め、現場の代弁者としての役割も感じながら、企画部門にあれこれ注文をつけています。ところがそれがかえってよくないのか、どうも企画部門は私との間に距離を感じているようで、結果的に営業部門と企画部門との間に溝ができてしまっているような感じが拭えません」

   大企業の社長が現場に入らずに、立ち位置が本社サイドに偏ってイエスマンを大量に生み出し、現場と本社の社員間に溝ができてしまうというのはよく聞く話なのですが、S社長の場合はまったく逆。これは珍しいケースだと思いながら、その理由をコーチング的にたずねつつ、解決策を自ら気づきを得ていただけないかと試みてみると、少しずつヒントが見えてきました。

「企画スタッフとの距離感の理由として思いつくのは、企画という会社の中枢を担う部門から見てその上に立つ私は、『仲間』ではなく『上から物言う目障りなヤツ』なのかなということ。それを解消する努力をしているのかと言われれば、していない私が悪い。私自身は、いつだって何かあれば取って変わられる立場なので、社員と同じ一サラリーマンとして接しているつもりなのですが、やはり相手からすると『社長は社長』なんでしょうね。
そのうえ『天下り』ですし。営業には支援に徹することでうまくいっているものの、企画部門とは対等な議論の相手になろうとして、言いたいことをストレートに言うと黙ってしまう。言えば言うほど、距離感ができてしまっているのかもしれません」

   S社長は「天下り」という、やや特殊な事情はあるものの、一サラリーマンが社長になって「役員フロアにある社長室の人」になった途端に自分の意図とは別に、特別な人になってしまう。その特別感を、自ら意識して行動することが足りないのかもしれません。

   自分は「天下り」意識はなくとも、相手はそうは思ってはくれない。自分は社員と同じサラリーマンだと思っていても、相手はそうは思ってくれない。「社長は孤独だ」と言われる実情は、じつはサラリーマン社長にこそ、あるのかもしれません。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。 連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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