政府は2019年10月に10%の消費増税を実施するとしており、その是非が7月21日投開票の参議院選挙の争点にもなっている。
消費増税を「予定どおり実施すべきかどうか」、企業の中でも真っ二つに賛否が分かれていることが、東京商工リサーチが7月9日に発表した調査でわかった。
東京商工リサーチが約7700社にアンケート調査したところ、「予定どおり実施すべき」が全体の51.4%と、半数にとどまることがわかった。一方で「増税を中止すべきだ」が24.0%、「時期を延期して実施すべきだ」は20.5%と、反対の意見も半数近くに達した。「その他」も4.1%あった。
企業の規模別にみると、「予定どおり実施すべき」と答えたのは、大企業が58.1%、中小企業が50.0%と、大企業のほうが多かった。
2018年9月に行なった同じアンケート調査に比べると、「予定どおり実施すべき」と答えた企業が全体で4.4ポイント多くなり、少しだが増税への理解が進んだことがうかがえる。
ただ、「消費増税によって景気はどうなると予想するか」との問いには、「景気が悪くなる」と答えた企業が65.0%に達したのに対して、「現状維持」は34.3%で、「景気がよくなる」と答えたのは0.7%しかいなかった。
企業活動への影響についても、「プラス」と回答したのは0.6%だけ。「マイナス」と答えたのが38.4%で、大半が「どちらともいえない・わからない」(59.7%)だった。
調査では、政府が消費増税の緩和策として、「キャッシュレス決済時のポイント還元」や「プレミアム商品券の発行」、「軽減税率の導入」などを実施するとしていることについても、それぞれのプラス・マイナスの効果を聞いている。それによると、79~89%の企業が「どちらともいえない・わからない」と答え、疑問視していることがわかった。
政府が推し進める施策は、企業の消費増税への不安を取り除く「決定打」になっていないようだ。
一方、政府は「リーマンショック級の出来事があれば、増税を中止する」としている。
その「リーマンショック級の出来事とはどのような事態か」を聞くと、6割近くの企業が「日経平均株価の1万5000円割れ」、もしくは「倒産の増加率が20%以上」の事態を想定していることがわかった。
調査は、2019年6月14~20日にインターネットでアンケートを実施。7762社から回答を得た。資本金1億円以上を「大企業」、1億円未満(個人企業などを含む)を「中小企業」と分類した。