J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

「最低賃金改定」直前、いずれの職種も1000円超え 9月のアルバイト時給

   2019年9月のアルバイト時給は全国平均で1094円となり、10月からの最低賃金の改定を目前に、過去最高を更新した。求人情報サイト大手のディップが、10月11日に発表した。

   調査によると、平均時給の1094円は前月より3円増え、前年同月からは46円も上がった。前年同月比で、37か月連続の上昇となった。

  • 人気の「事務的職業」だが、9月の時給は前月を37円下回った
    人気の「事務的職業」だが、9月の時給は前月を37円下回った
  • 人気の「事務的職業」だが、9月の時給は前月を37円下回った

ラグビーW杯特需で押し上げも

   職種別の平均時給は、「試験監督・添削・塾講師・家庭教師」など「教育の職業」が1395円で、8月と比べて18円増、前年比で19円増えて、トップ。「看護・介護」「エンジニア」「薬剤師」などの「専門的職業」は1350円(前月比で7円減、前年同月比167円増)、「建設の職業」は1243円(前月比7円増、前年同月比41円増)が続いた。「ホール・キッチンスタッフ」など「飲食の職業」は1029円で前月比13円増、前年同月と比べて43円増えた。

   9職種中4職種が前月より増加。前月比でマイナスだったのは「専門的職業」の「販売の職業」の1004円(2円減)と「運搬・清掃・包装等の職業」の1038円(12円減)。「事務的職業」は37円減の1171円だった。「製造・技能の職業」(1066円)は前月と変わらなかった。

   また、前年同月比では9職種中8職種で増加した。「運搬・清掃・包装等の職業」だけが増減なしで、9月の時給が前年を下回った職種はなかった。

   ディップによると、キャンペーン・イベント関連、旅行、理美容などの「サービスの職業」の求人件数が年間を通して増加傾向にある。9月は現在開催中のラグビーW杯の特需で、会場設営やその他イベントスタッフの募集も多く、求人件数・平均時給ともに引き上げる形になったという。

   時給では目立った動きがなかった「運搬・清掃・包装等の職業」だが、同じカテゴリーの「警備・車両誘導」では、ラグビーW杯特需による募集増加の影響が大きく、求人件数は前年比62.9%増と大幅にアップ。平均時給は1122円と前月比3.1%増、前年同月比10.1%増となった。特別ボーナスを支給するなど、条件をよくして人員確保に動く企業も目立った。

   「建設の職業」をめぐっては「引き続き9月も他職種と比較しても求人倍率が非常に高い傾向が続き、人手不足の状態は続いている」とみられる。「オリンピックに向けた施設やホテルの建築に続き、リフォームなどの既存案件も多く発生。リフォーム需要は都心のビル街で多く、夜勤で働ける人を採用するのに苦戦している企業もあるようだ」とみている。

   厚生労働省は2019年8月、都道府県ごとに決める19年度の地域別最低賃金について全国の改定額を公表。10月から順次適用されるが、こちらの全国平均は、9月までの時給を27円上回る901円。東京都と神奈川県で初めて1000円を超えた。職種によっては、この改定が押し上げ効果となり、さらなる増加が促される可能性がある。

   なお調査は、ディップが運営するアルバイト・パート求人情報サイト「バイトル」に掲載された求人広告データをもとに集計。9月に掲載された求人件数は19万2000件で、前月比9.3%増、前年同月比24.6%増だった。