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「色」で確実な顧客層をつかむ スタバに「おひとりさま」が多いワケ

   はじめまして、カラープロポーザーの南川真輝です。「カラータイプ」というビジネスツールを使って、上手に円滑に仕事を進めていく術をご紹介していきたいと思います。

   さて、色には「色彩心理」という、いわゆる「色の意味」があります。私たちは生まれてきてから、目を開ければすべてに色がついていて、無意識のうちに色から心理的効果や生理的効果、精神的効果を得ています。

   ただ、それはじつに日常に溶け込み、当たり前すぎて、特別なものとは感じていないのが実情。しかし、色を変えることで売り上げが上がったり、狙った顧客層のターゲットがGETできたりするとしたらどうでしょう。

   たとえば、コーヒーチェーン大手の「スターバックスコーヒー(ジャパン)」を見てみると......。

  • 「わたしたちは『色』から、無意識のうちに心理的効果を得ています」(南川真輝さん)
    「わたしたちは『色』から、無意識のうちに心理的効果を得ています」(南川真輝さん)
  • 「わたしたちは『色』から、無意識のうちに心理的効果を得ています」(南川真輝さん)

スタバの「緑」は安らぎを与えてくれる

   スターバックスがシンボルマークなどに使っている色は、「緑と黒」。そして、お店のインテリアには木とコンクリートを基調としています。
   「緑」の色彩心理には、おだやか・バランス・平和主義・リラックス・休憩・成長などの意味があります。
   まさに「緑」は私たちの生活の中で、森林をイメージし、人間にとって一番無刺激の色なのです。そこにあって当たり前で、おだやかな安らぎを与えてくれます。

   また、「黒」の色彩心理には、孤独・独立心・完璧主義・クール・近寄りがたいなどの意味があります。「独り」というキーワードが多いのです。

   そう、スターバックスは「おひとりさま」のお客様を多く見かけるのです。パソコンを開いて一人で仕事をしていたり、一人で読書をしていたり......。

   店内に二人組は見かけることがあっても、大人数でワイワイしている光景は少ないと思いませんか。さらには子どもも少ない。そもそも、子どもが集まるような配色ではないのです。

   「黒」は近寄りがたく、コミュニケーションをあまり取りたがらない色といえます。まさにスターバックスの配色は、大人をターゲットに、他人とのコミュニケーションは控えて、「一人で、リラックスして過ごしてくださいね」、と言っているのです。

   また、男性が入店しやすい配色であるともいえます。

「オシャレに憧れる堅実タイプ」の心を鷲づかみ

   ちなみにスターバックスコーヒーの理念には、こうあります。

「人々の心を豊かで活力あるものにするために-- ひとりのお客様、1杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」

   つまり、「ひとり」「一杯」「ひとつ」という、「1」のキーワードを大切にしているのです。

   他のお店と比べてみると、たとえば「赤」を使っているお店では、短時間でも待たされるとイライラする人が少なくないそうですが、スターバックスでは多少待たされてもイライラしているお客が少ないそうです。

   またカラータイプ理論の目線でみると、「緑」と「黒」は堅実タイプなお客様へのアプローチが見える配色ですが、店内の木とコンクリートのテイストは、オシャレに憧れる堅実タイプの心を鷲づかみしているといえます。

   日本は堅実タイプの人が多い傾向があるので、じつはスターバックスの色づかいに、日本人は知らず知らずのうちに吸い寄せられているのかもしれません。

   このように、色は人の心に影響を与える効果があります。ただ好きとか、なんとなくで決めて使うのは、とてももったいないうえ、使い方を誤ると危険でもあります。

   色彩心理学を用いたカラーマーケティングは、じつに画期的でおもしろいもの。会社の理念や、響かせたいターゲット層に合う色づかいはロジカルに落とし込まれています。

   目を開ければ、すべて色である! 建物・オフィスからインテリア、ファッション、化粧品、食品etc なぜ、その色なのか――。そこには必ず理由があります。

   色を味方につけると、世界観が変わってきます。さて、あなたの会社のコーポレートカラーやホームページ、フライヤー、カタログはどうなっていますか?(南川真輝)