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突然、頭が真っ白に......! 「緊張」のドキドキは恥ずかしいことでも、弱いことでもない(くぼた茜)

「時間をかけて作成した資料。チェックを繰り返し、これで完璧だ!」

   そう思って挑んだプレゼン本番。自分の出番が回ってくると、緊張して頭が真っ白に......。せっかく準備してきたことの半分も伝えることができなかった......。

   そんな経験をしたことのある方、いらっしゃるのではないでしょうか。

  • 緊張のドキドキは恥ずかしいことでも、弱いことでもない!
    緊張のドキドキは恥ずかしいことでも、弱いことでもない!
  • 緊張のドキドキは恥ずかしいことでも、弱いことでもない!

そもそも、どうして緊張するのか?

   広告代理店に勤める私の友人の、若かりし頃のこと。

「プレゼンなんて楽勝だよ!」

といつも通りに準備して、いざ会議室の扉を開けると、クライアントや競合する会社の役員クラスの方々がズラッと並んでいる......。

   あまりの緊張に、そこからの記憶がまったくなく、今でもその経験がトラウマだといいます。

   プレゼンだけでなく、会議での発言や初対面の相手と話すときなど、緊張するタイミングは人それぞれ。もし、緊張に囚われることなくいられたら、ご自身の可能性も変化していくのではないでしょうか。

   ちなみに私は過去、「では、自己紹介をお願いします。」のひと言だけでも、手に汗をかき、心臓がドキドキしていました。

   じつは「緊張」には原因があり、そして対処法があります。緊張がコントロールできるとわかっていたら、緊張におびえることなく、準備してきたものをしっかりと相手に伝えられ、ご自身や組織の目標達成にも大きく関わってくるのではないでしょうか。

   そもそも緊張はどうして起こるのでしょう――。

   緊張とは、人間がまだ動物だったころ、危険が訪れた時に自分の身を守るために起こる身体反応です。

・相手の動きに素早く反応するためにソワソワする。
・身を守るために筋肉が収縮して体が硬くなる。
・血液を体に送る為に心臓がドキドキする。
・岩や木に登って逃げる為に、手や足に汗をかく。

   早口になってしまうのも、その場から早く逃れたいと思うために起こってしまうもの。頭が真っ白になってしまうのは、目の前の相手に集中するためです。

   このように、「緊張反応」は本来、自分を守る味方であるはずなのです。

現代で起こる身の危険とは......?

   緊張は、決して自分が弱いから起こるものでも、未熟だから起こるものでもありません。動物時代の反応の名残が、今でも強くカラダに出るタイプなのか、そうでないのかということだけなのです。

   ですので、緊張自体を無理になくそうとするのではなく、緊張していることは受け入れて、その反応をいかにコントロールするかが、肝心なのです。

   さて、確かに動物時代は、自分より強い動物から命を守るために逃げることが必要になるときがありましたが、現代では実際に攻撃されたり、生命が危険な状況になったりすることは稀です。

   では、何が原因となって「緊張」につながるのか――。現代社会では「孤立」に対する恐れが緊張の原因となることがほとんどです。

「ダメな自分を知られたら失望されてしまうのではないか」
「失敗したら見捨てられてしまうのではないか、笑われてしまうのではないか」
「完璧でないと受け入れてもらえないのではないか」
「自分は人より劣っているのではないか」

など、動物時代は「命の危険」というシンプルな理由でしたが、現代は多岐にわたって緊張の原因があります。

   大きくタイプを分けると、次の5つのパターンがあります。

(1)人目が気になるプライド型
(2)自分はこんな器じゃない・・コンプレックス型
(3)過去の失敗が蘇るトラウマ型
(4)誰でも陥る準備不足型
(5)初めての経験、未体験型

   今回は、多くの方が陥りやすい「プライド型」緊張の原因と対処法を、一つお伝えします。

「失敗したくない」
「完璧にやらなくてはならない」
「評価されたい」
「よく思われたい」
「恥をかきたくない」

   このように多くの方が陥る「プライド型緊張」。たとえば、プレゼンを任されたとき「人からすごいと思われるような完璧なプレゼンをしなくては!」というような思いになる方は、このタイプが当てはまります。

目線が気になる「プライド型緊張」の対処法

   もちろん、プライドをもって仕事に取り組むことは素晴らしいことですが、たとえばプレゼンの最中に、

「自分がどう思われているか?」
「きちんと評価されているか?」
「おかしなことを言っていると思われていないか?」

と、「相手が自分をどう思っているか」という、「相手 → 自分」の方向に意識を向けてしまうと、人は恐怖を感じてしまうことになります。

   そうすると、カラダは自分の身を守るために緊張反応を起こします。経営者やある程度の立場のある方に多いのも、このタイプです。

「きちんと経営者らしく見えているだろうか」
「失敗したらがっかりされるのはないだとうか」

などです。

   こういった場合の対処法は、まず自分が頭の中で何を考えているかを認識し、その次に矢印の方向を変えることです。

   自分の思考に気付いた後は、「相手にどう思われるか?」と、相手から自分に矢印を向けるのではなく、「自分が相手に対して何をできるのか?」と、自分から相手に対して矢印を向けなおしましょう。

   これらは、事前にテーマを一つ決めておくことで、いざ緊張した際にも落ち着いて対処することが可能になります。

   たとえば、相手にわかりやすく伝えるために、「ゆっくり話す」「笑顔で話す」「大きな声で話す」など、できる限りシンプルで、自分自身でコントロールできるテーマに置き換えることが大切です。

   相手が自分をどう思うか、は自分自身ではコントロールできるものではありません。自分にできることに意識を向け、そこに集中することが「プライド型緊張」のコントロールの第一歩になります。

   では、まとめです。

【プライド型緊張コントロール方法まとめ】
(1)緊張していることを受け入れる。
(2)その時、頭の中で何を考えているか? 思考を客観的に見てみる。
(3)矢印がどちらに向いているかを認識する。
(4)決めておいたテーマに集中し、矢印を相手に向ける。

   緊張は恥ずかしいことでも、弱いことでもありません。

   まずは、それをしっかりと受け止めたうえで、対処していきましょう!(くぼた茜)