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周囲から見ればブラック企業でも、「好きと得意の重なる仕事」でイキイキ! それはなぜ?(入澤あきこ)

   最終回(2020年3月11日放送)を迎えたドラマ「知らなくていいコト」は、数々のスクープを世間に送り出す週刊誌「週刊イースト」が舞台。吉高由里子さん演じる真壁ケイトが、シングルマザーとして自分を育ててくれた母親の急死をきっかけに、自分の出生の謎と父親の秘密に迫ります。

   仕事でもプライベートでも「知らなくていいコト」を暴いていくお仕事系ヒューマンドラマです。

  • 吉高由里子さん演じる真壁ケイトがカッコいい!(日本テレビ「知らなくていいコト」のホームページより)
    吉高由里子さん演じる真壁ケイトがカッコいい!(日本テレビ「知らなくていいコト」のホームページより)
  • 吉高由里子さん演じる真壁ケイトがカッコいい!(日本テレビ「知らなくていいコト」のホームページより)

ケイトは自主的に仕事に没頭している状態だった

   ドラマで、ケイトさんは働きっぱなし!

   私はこんなに働けないわ、と毎回思っていました。スキャンダルを暴くために、張り込みは当たり前、仮眠室の用意された職場で徹夜も当たり前、長時間労働の巣窟のようです。

   そして、上司からも怒鳴られる。これはブラック企業ではないか! と思うのですが、それなのに編集部の人たちはみんな活き活き働いて輝いていました。

   自主的に仕事に没頭している状態だと感じました。そして、チームワークもとてもいい。いったい何がそうさせているのでしょう。

   ここに「働き方改革」を考えるヒントがあると思いました。働き方改革と言えば、長時間労働の是正、副業などの柔軟な働き方の促進、高齢者の就業の促進などがあります。

   確かに企業側として、そのような対応を進めていかないと、働き方改革にはならないでしょう。働き手としても、自分が組織の中で活躍して労働問題の改善に貢献する必要もあるでしょう。

   ですが、終身雇用が前提でなくなった今、中長期的には組織を超えた自分の働き方も模索することが改革につながるのではないでしょうか。組織を超えて働くことができれば、出産や介護などのライフスタイルの変化、定年も関係なくなると思うのです。

「この仕事が好きだから」だけでは輝けない?

   最近、私は働くママへのインタビューをしていますが、出産を期に時短勤務やパート、融通の効く独立という形に働き方を変えた方が約7割になります。働き方を変えた理由の多くが、長時間労働ができないからでした。

   働き方が変わっても仕事をしている理由の多くは、「この仕事が好きだから」と答えています。インタビューを受けたママたちは、週刊イーストの編集部の人たちに共通する「自主的に仕事に没頭している状態」があるようです。

   仕事に没頭している人の共通点は「好きなこと」と「得意なこと」が一致している状態なのだと感じています。

   好きか嫌いかは、自己評価です。たとえば、文章を書くのが好き・嫌い。好き・嫌いは自分だけで判断できます。他人が評価できるわけではありません。

   一方、得意か苦手かは、自分でも評価できますが、他人からも評価される「自分の能力」です。たとえば、人から話を聞き出すのが得意、または苦手という評価です。それは自他共に評価できる能力なのです。

   記者という仕事は、取材で話を聞き、書くことが仕事です。話を聞くことも書くことも苦痛と思っている人は、そもそも記者の仕事には就かないでしょう。つまり、編集部の人たちは「好き」と「得意」が重なった仕事をしているので、輝いているように見えたのではないでしょうか。

   ケイトが周りから一目置かれた、仕事のできる存在となっているのも、好きと得意が重なっており、仕事における能力の高さが評価されているからだと思うのです。

   とはいえ、そんな「好き」と「得意」なことが重なって仕事をしている人は、この世の中でどれだけいるのでしょうか。もしかしたら、人はさまざまな仕事をしながら、「好き」と「得意」の両立を探して働いているのかもしれません。

   「知らなくていいコト」は、おもしろい最終回でした。私は「好き」と「得意」を貫いて仕事をするケイトがカッコイイと思いました!(入澤あきこ)

◆ 水曜ドラマ「知らなくていいコト」◆
日本テレビ系。毎週水曜日22時から。主演は吉高由里子。脚本を担当する大石静のオリジナル。週刊誌「週刊イースト」編集部で働く辣腕記者の真壁ケイト(吉高)がスクープを追う中で突き付けられる真実と向き合わなければならない心の葛藤......。
動物カメラマンでケイトの元カレ、尾高由一郎役に柄本佑、ケイトとの婚約を破棄した野中春樹役に重岡大毅、週間イースト編集長の岩谷進役を佐々木蔵之介が演じている。