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これから、ますます増えそうなリモート会議 コロナ禍のコミュニケ―ション力の肝とは?

   近年、企業の中には、新卒の社会人1年生をはじめ若者らが周囲とのコミュニケ―ションをめぐって頭を悩ませるケースが多いという。本書「一瞬で心をつかむ! 聞く力」の著者、菊原智明さんは、営業のコンサルティングを行う一方で、大学や企業でコミュニケーションスキルの講座を持ち、コミュニケーションを苦手に感じる人に向けてサポートしている。

   そんな菊原さんは、今後のビジネスコミュニケーションは、リモート環境の機会が多くなるが、その中では「話す力」よりも、「聞く力」が求められると指摘する。

「一瞬で心をつかむ!聞く力」(菊原智明著)学研プラス
  • 握手して交渉で大事なのは「聞く」力
    握手して交渉で大事なのは「聞く」力
  • 握手して交渉で大事なのは「聞く」力

まずは「聞き役」に徹する

   「話術」といわれるように話すことに技術があるように、「聞く」ことにも技術があるそうだ。ただし、聞く技術について難しく考えてはいけない。そのことばかりを考えて、かえって、相手が何を言っていても上の空になってしまう。コミュニケーションでは逆効果だ。

   だから、まずは「難しいことを考えず『話を聞く』という姿勢になってみる。聞く姿勢が身についてから、だんだんとテクニックを使えばいい」、「まずは『聞き役に徹する』といったスタンスだけで十分」という。そうして「聞く力」を鍛えよ。それが最初の提案だ。

   聞く力があれば、話す力以上にコミュケーションスキルが上がる。相手の話を理解せず、一方的にまくしたてるように話しては、相手がそれに不快感を持つかもしれないが「聞く力があれば、相手の話に共感したり寄り添ったりすることで、良好なコミュケーションが取れるようになる」というわけだ。

   職場でのコミュニケーションに目を向けると、働き方改革や、さらには新型コロナウイルスの影響で今後はますます、リモート環境下でやりとりされることが多くなることが見込まれる。モニターを通した平面的なコミュニケーションでは、ただでさえも集中力が途切れがち。話す力だけではコミュニケーションを運営しきれない場合もある。

   こうした場では、聞くテクニックが必要だ。カメラに向かって、うんうんと大きく肯き、相手の言っていることを「わかっています」という意思を示して次を促すもその一つという。

会議でしてはいけないコト?

   人はごく短時間で会話の相手の人となりを判断している。交わした会話がそういう判断の材料となるほど十分とはいえないうちにも、そうわかるのは、言葉以外のメッセージをキャッチしているから。いわゆるボディー・ランゲージだ。

   著者によると、リモートの商談や会議が増えてくる今後には「いままでの何倍もボディー・ランゲージが重要になってくる」という。相手の話に集中している人は腕を組んだり背もたれによりかかったりしないものだが、モニターされているにも関わらず、相手がその場にいないから、気を抜いてやってしまうかもしれない。「腕組みは相手を拒絶したい気持ちを伝えるボディー・ランゲージ」というから、油断してやってしまい商談がダメになる可能性だってある。

   ボディー・ランゲージが重要といっても、何もいつも大きな身振り手振りをしようということではない。相手の話に「集中している」姿勢を見せるだけで、コミュニケーションが濃いものになる。

   著者が、特に若者を対象に注意を促すのは、「スマホいじり」だ。ある勉強会で、一人の人物が、他人の発言の番になるとスマホに視線を落とし、ときには触れて操作をしていた。連絡に忙しくて他人の発言など聞いていないのだろうと著者は思ったが、会合後の雑談で、勉強会にはしっかり参加していたことがわかった。そこで、スマホいじりを指摘したところ、この人物はデジタル・ネイティブ世代で、常にスマホを片手に過ごしており、勉強会でも無意識の行動で、悪気はまったくなかったという。

   「しかし、そのしぐさは私にとっては非常に目障りで、勉強会の途中からは、彼の前で意見を述べるのがイヤになるほどでした」と著者。何気にないスマホいじりも、コミュニケーション破壊のボディー・ランゲージになる可能性がある。

「一瞬で心をつかむ!聞く力」
菊原智明
学研プラス
税別1300円