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検証! 米大統領選と株価の関係 「選挙の年」に起こったこととは?【投資の着眼点】

   2020年8月28日、安倍晋三首相(当時)が突然辞意を表明した。一方で、海外に目を向けると11月3日に米大統領選が予定されている。

   国内外を問わず、選挙は株価の値動きに非常に大きな影響を与えることが多い。2016年11月の米大統領選では、選挙当日の前半は大きく売り込まれた後、一転して上昇トレンドとなった。その後は「トランプ相場」と呼ばれる、株価が上昇する日々が続いた。

  • 11月3日の米大統領選で株価はどう動くのか!?
    11月3日の米大統領選で株価はどう動くのか!?
  • 11月3日の米大統領選で株価はどう動くのか!?

「トランプ相場」のはじまり、2016年の米大統領選

   振り返れば、2016年は、「選挙の年」だった。英国で欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票が行われた。英メディアの予想に反して、離脱派が残留派を上回って勝利する結果となった。これを受けて、当日の日経平均株価は一時1286円安となるなど、記録的な下げ幅となった。

   さらに、2017年10月22日の第48回衆議院議員総選挙では、選挙日を挟んで日経平均株価が16営業日にわたる連騰を記録している。なお、この連騰によって日経平均株価は20年ぶりの高値を回復した。

   また、2017年はフランスでも大統領選が行われたが、候補者を2人に絞る4月23日の第1回の選挙の結果、現フランス大統領である中道派のマクロン氏と、極右派のル・ペン氏が残る結果となった。

   いずれも好ましくない候補者だとして、フランス国内で一時的にデモが激化したものの、選挙結果を受けた週明けの欧州株式市場は、大きく窓を空けて上昇する形となった。

   このように、選挙が株式市場に与える影響は無視できないものがある。では、株価変動に関する選挙にまつわる規則性が、何かあるのではないだろうか?

   米国では、「4」で割り切れる年の11月の第1月曜日の翌日に大統領選挙が行われることになっている。したがって、次の大統領選は2020年11月3日に迫っているのだ。米大統領選の株価変動は、いったいどのようなものとなっていくのだろうか――。

過去65年間に米大統領選は17回、その時の株価は?

   今回は、米国を代表する株価指数であるS&P 500指数を調査対象とした。なお、株価はYahoo! Finance(米国サイト)から取得した。

   調査期間は1952年から2016年までの65年間で、このうち米大統領選のあった年度は17回だった。

米大統領選があった年は......
米大統領選があった年は......

   すると、興味深いデータが判明した。

   株価指数の月間平均騰落率は、大統領選がある年がプラス1.26%に対して、選挙がない年はプラス1.63%と、選挙がある年のほうが高いわけではないということがわかった。

   しかし、興味深いのは11月の株価上昇率の高さだ。月間に1.63%上昇したということは、年率に換算すると20%近くも上昇したということである。すなわち、11月は株価が上昇しやすいということだ。

   また、大統領選のある年は、例年と比べると株価が荒れやすいのかもしれない。というのも、数値のバラつき具合を示す標準偏差が、選挙のない年よりも大きくなっているためだ。

   11月は米国で第4木曜日に感謝祭と呼ばれるイベントがあり、小売店の好調な売れ行きがみられる。また、感謝祭の翌日は「ブラック・フライデー」と呼ばれている。この語源については歴史的な経緯があるものの、このフレーズの「ブラック」は、現代においては小売店の黒字のことを指している。

   企業の好決算が想定されることもあってか、この時期は株価が上昇しやすいのかもしれない。そして、浮動株ベースで世界の時価総額のおよそ半分を占める米国株式市場の動向は、世界に影響を与える。むろん、日本もその例外ではない。

   長期投資であれば、売買のタイミングはさほど重要ではないのかもしれない。しかし、買った株はできれば初めから含み益が出てほしいものだ。季節性の株価アノマリーを、参考にしてみてはどうだろう。(ブラックスワン)