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バイデン氏優勢も勝つのはトランプ氏? シンクタンクの米大統領選レポートの分析は

   2020年11月3日に行われる米大統領選は、最新の世論調査によると、民主党のバイデン候補が、現職のトランプ大統領(共和党)との差を広げ、優位を固めている。

   だが前回、4年前の選挙では、民主党のヒラリー・クリントン候補が世論調査で優位とされながらトランプ候補が逆転を演じた例もあり、情勢分析を進めている日本のシンクタンクや金融機関の報告は、結果の予想に慎重だ。

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カギにぎる? 隠れ支持者

   米国の大統領選挙について、米ヤフーニュースと英市場調査会社ユーガブ(YouGov)が2020年10月23~25日に行った世論調査によると、54%がバイデン氏に投票すると答え、トランプ大統領は42%だった。ヤフーニュースによると、この12ポイント差は、4年前にユーガブが選挙の1週間前に行った調査でクリントン候補がトランプ候補につけた差の4倍という。

   バイデン氏は8月に民主党の大統領候補に指名されてから、支持率でトランプ大統領を上回っており、その差は、トランプ大統領のコロナ感染で拡大。バイデン氏の「当確」予想が出そうなものだが、そうはなっていない。

   日本のシンクタンクなどのレポートで指摘されているのは、世論調査に表れないトランプ支持者の存在だ。前回の選挙でトランプ氏逆転当選をめぐり大きな役割を果たしたとされる。

   大和総研が2020年10月22日付で公表した「米大統領選早わかり」と題するレポートでは、「隠れトランプ信者」と呼び「トランプ氏の劣勢が著しい中でも、その再選可能性を想定する要因」の一つとしている。隠れトランプ信者は前回の選挙ではトランプ氏支持と回答せず、実際にはトランプ氏に投票し逆転劇を演出した。

   ただ、トランプ氏に対するリードが、前回のクリントン氏よりバイデン氏のほうが非常に大きいことなどから「隠れトランプ信者」の力は、今回は発揮し切れない可能性を指摘している。

   NHKはウェブサイトに設けている「アメリカ大統領選挙2020」で10月17日に「『トランプ劣勢』? 世論調査は信用できるのか」という特集記事を公開。この中で、取材を受けた米世論調査会社の主任調査員が「隠れトランプ支持者」の存在を指摘している。主任調査員によると、「隠れトランプ支持者」はトランプ氏の振る舞いに対する批判から支持していても、それを表明するのがはばかられ、結果的に隠れ支持者になってしまった。トランプ大統領になってからは社会の分断が進み、トランプ支持をさらに言いにくい環境になっており、隠れ支持者は増えているのではないかという。

支持者の熱意が高いほうが勝つ

   バイデン氏が優勢であることを示す世論調査で判明した支持率の結果は歴然としながらも、有権者の認識はそれと一致せず、賭け市場の予想とも乖離している。

   日本総研が9月24日付で発表したレポートでは、バイデン支持者はトランプ支持者より熱意が低いため、バイデン氏の得票率が伸び悩む懸念があるからだと指摘している。「実際、近年の大統領選挙を振り返ってみると、支持者の熱意が高い候補が勝利した」とし、前大統領のオバマ氏の例を挙げた。

   日本総研のレポートによると、支持率ではバイデン氏が上回っているにもかかわらず、「どちらの候補が勝利すると思うか」を尋ねた調査では、トランプ氏が勝つと考えている有権者の方がわずかながら上回る結果も。調査は英誌エコノミストとユーガブが9月23~25日に実施。支持候補別の統計ではもちろん、それぞれの候補の勝利を予想する割合が圧倒的に高いが、支持不明を合わせた「全登録有権者」のカテゴリーでは、トランプ氏勝利を予想する割合は40%を超え、バイデン氏については40%を下回った。

   大統領選について支持率だけが結果を見通す指標になり得ないのは近年の傾向だが、今回の場合さらに先読みを困難にしているのは新型コロナウイルスの感染症問題だ。三井住友DSアセットマネジメントは、10月26日に発表した最新のマーケットレポートで米大統領選を特集し、トランプ大統領自身が感染したことが象徴するように、波乱の展開を指摘する。

   米国では1日あたりの新規感染者数が7月のピーク時に近づきつつあり、感染第3波が懸念されている。このため、すでに増加傾向にあり問題化している郵便投票が大幅に増えることになり、「選挙結果の判明が遅れたり、結果の正当性が疑われたりする懸念がある」。このため「最後まで波乱の展開」になる可能性が高いという。