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「バズりたい」あなたへ...... ネット時代に必要な文章術とは?

   ブログ、SNS、メールマガジンなど、ネットに書く文章を多くの人に読んでもらいたい人や企業で広報・PR、マーケティング、セールスなどの職にあり、自社サイト用の文章を作成する人に勧めたいのが、本書「100万PV連発のコラムニスト直伝 『バズる文章』のつくり方」である。

   「バズる」文章を書くために必要なスキルとテクニックを、さまざま披露している。

「100万PV連発のコラムニスト直伝 『バズる文章』のつくり方」(尾藤克之著)WAVE出版
  • 「バズる」原稿を書く!?(写真はイメージ
    「バズる」原稿を書く!?(写真はイメージ
  • 「バズる」原稿を書く!?(写真はイメージ

「バズる」ことを目標にするならTwitter

   著者の尾藤克之さんは、コラムニスト・著述家、明治大学客員研究員。コラムニストとして「JBpress」「J-CAST 会社ウォッチ」などに執筆。100万PV以上を獲得した記事がいくつもある。著書に「あなたの文章が劇的に変わる5つの方法」(三笠書房)、「頭がいい人の読書術」(すばる舎)などがある。

   これまでの文章術では語られることのなかった「常識外れ」「掟破り」「逆張り」をベースとした思考とテクニックが、本書の最大のセールスポイントだ。

   前半ではSNS活用術を取り上げている。各SNSの特徴を挙げ、「バズる」ことを目標にするならば、Twitterを必ず押さえたい、としている。以下のように書いている。

「LINEはビジネス用途しかないので一般的ではありません。Facebookは閉鎖的なコミュニティです。友だちが上限の5000人いようが大した影響力もなければ拡散性もありません。Instagramにもシェア機能がないので拡散性がありません」

   まずは、Twitterでのフォロワー2000人獲得を目標にしてみよう、と呼び掛けている。尾藤さんのフォロワーは、2017年頃は数百人だったが、現在は3万人。著書の出版を見据えて計画的にフォロワーを増やした。

   140文字の投稿ネタを300個仕込むことから始めたという。300個あれば2か月はネタ切れにならない。その結果、Twitterの発信のみで約3000冊を売り上げた。

   フォロワーが2000人を超えると世界が変わるという。拡散力が高まり、ツイートに対する反応の数が増えることが実感できるそうだ。タイムラインでの露出が増える、アカウントの影響力が増す、フォロワーが増えやすくなるという3つのメリットを挙げている。

   尾藤さんは画像をフォロワー獲得の武器にしている。著作権トラブルを回避するためロイヤリティフリーの写真素材を使用すること。

   プロフィールをきちんと作り込むのも重要だ。何者かであるかを説明してキャラクターを確立する。事実を端的に記載し、検証できない情報は載せるべきではない、と書いている。

   Twitterの次に押さえたいのがLINEだ。情報出現率が圧倒的に高いという。

「バズる」文章の条件

   さて、いよいよ中身の文章の話だ。「自分/相手」×「主題」×「様式」のバランスがいい状態のときに初めて「バズる」という。ただし、タイトル詐欺にならないように注意すること。「ここでしか読めない」というベネフィットを提供することが大事だ。

   ・拾い読みしても全体がわかる文章を書く
・読者に「これは自分のことだ」と思わせる
・ベストな文章の長さは25文字

など、具体的な文章術について、いろいろ書いているが、よくある文章術の本とはかなり違うテイストだ。

   「常識外れ」「掟破り」だと思ったのは、「本当に伝えたいなら、5W1Hは無視しよう。5W1Hにこだわると、不明点やモレはなくなるがうっとうしい文章になる。伝えたいなら感情をこめる」と書いてあることや、「喜怒哀楽」を表現しよう、「伝える」ためにロジカルは不要、と訴えていることだ。

   Twitter なら140字以内というSNSの短い文章の制約の中で、いかに自分を盛り込みながら有益な情報を発信し、相手の感情に刺さるか。既存の文章術では対応できないことを痛感した。

   少し長い文章でも考え方は同じだ。「なるほど」と思ったのは、「最初の100文字、つまり3行程度でフックがかからないと読んでもらえない」と書いてあることだ。フックとは「なんだこれは!?」と思わせるような印象的な話題のこと。つかみだけではダメだ。最後にオチとなるメッセージを用意しておくことも必要だという。

   巻末には特別付録として、Twitterのフォロワーを増やすための20のコンテンツが付いている。このコンテンツを1日4回ツイートすればフォロワーが増えるという。中身は実際に本書を読んで確認していただきたい。なるほど、こうした手があったのか、と感心した。

   尾藤さんが最初に著書を出したのは2010年。コンサルティング会社依頼の自己啓発書で、しかも共著だった。あまり売れず、次の本を出すまでに2年かかった。それ以来16冊の本を出しているが、ひとえにネットの力だと思っているという。

   「文章力+ネット発信力」は一生モノのスキルである、と「おわりに」に書いている。ネット時代に対応した新しい文章術の本である。

「100万PV連発のコラムニスト直伝 『バズる文章』のつくり方」
尾藤克之著
WAVE出版
1540円(税込)