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【1万円からはじめる暗号資産】荒れる株価・ドル円相場が気になる? 北大、明大ともに動かず【暗号資産バトル 第17節】

   株価は荒れ模様。ドル円相場は日本銀行が単独で円買い介入を実施するなど、落ち着かなかった今週(2022年9月19日週)。仮想通貨市場は、意外にも底堅く推移した。主力のビットコインはFOMC(米連邦公開市場委員会)のあと、米国株価指数に引っ張られることなく1万8300~1万9500ドルのレンジの値動きだった。

   そうしたなか、北海道大学の花野直樹さんは今週も取引なし。ビットコインを保有する明治大学の城正人さんも動かなかった。両者とも慎重だ。東京大学の迫嵩明さんはお休み。

  • 慎重に、慎重に......
    慎重に、慎重に......
  • 慎重に、慎重に......

仮想通貨はデジタルゴールドとなるか?(北海道大学 花野直樹さん)

   今週(9月19日週)もトレードはなし。仮想通貨市場を振り返りたいと思います。相場変動の主要因は、FOMC(米連邦公開市場委員会)だったかと思います。利上げ幅は市場の予想どおり0.75%でしたが、今年度末までの金利の目標値が3%台だったのに対し、4%台に引き上げられました。また2023年も利下げしないことが示唆され、今年中に利上げ幅が落ち着き、来年には利下げが行われるという市場の淡い期待を打ち砕きました。

   それを受けて長短金利が大きく上昇。株価は下げました。特に長短の金利差は短期金利が長期金利を上回る逆イールドという現象が深まり、利上げによる不景気の足音が近づいてきました。

   では、仮想通貨はどうだったかというと、意外にも底堅くビットコインを見るとFOMC後、米国株価指数に引っ張られることなく1万8300~1万9500ドルのレンジ内での値動きで終わりました。ここから上昇するのかというと、市場環境の悪さに加えてテクニカル的にも下値を若干切り下げながらのフラッグ(チャートが旗のような形、トレンドの持続を示す)パターンを形成しており、フラッグを抜けてさらに落ちていく可能性のほうが高いと思います。

   ここからは今後、世界的な不況が来た際に、仮想通貨はどうなるかを考えたいと思います。ビットコインはしばしば安全資産といわれるゴールドに例えて、デジタルゴールドといわれています。その理由としてインフレヘッジ、資産の逃避先、採掘量などゴールドに似ている点があげられます。

   まずインフレヘッジとしては歴史的なインフレに見舞われている中で、ビットコインは昨年までは上昇していましたが、今年になって半値以上下がっています。インフレヘッジとしてビットコインを保有している人は物価高と資産減少のダブルパンチを食らっていることでしょう。

   資産の逃避先としてはロシアが経済制裁でSWIFTから締め出されたとき、確かにルーブル建てのビットコインの取引量が増加したというデータがあるようですが、市場にほとんど影響を与えませんでした。逃避先としての需要はあるとは思いますが投機マネーのほうが多く米国株価指数に連動し、その数倍のボラティリティがあるものが安全資産とは言い難いと思います。

   もちろん、これは現時点での話で、長期で見たらどうなるかはわかりませんが、今年~来年において不況が来た時に安全資産といって買われることはないのかなと考えています。

前週からの損益   プラス・マイナスゼロ
9月23日現在           9754円

◆ 池田昇太のワンポイントアドバイス
ビットコインは今週(9月19日週)からさらに下落するも、底を抜けずに繰り返し反発している様子が見られましたね。26日週はレンジ相場となり、一定の値幅を上下して終わりそうです。
仮想通貨にとって悪い材料が出ているものの底は割れていないため、今後も1万8300ドル付近で買って、上がったタイミングで売るような短期売買が可能でしょう。
また、仮想通貨は以前から「デジタルゴールド」と言われており、金(ゴールド)と比較して語られる機会がよく見られます。ただ、ビットコインは金のような値動きはせず、実際に今年2月から発生したロシアのウクライナ進行直後は、金が買われていたのに対してビットコインは売られている様子でした。知名度は高いものの、まだ信用性の低い資産という認識が強いと思われます。今後、長期的にビットコインがどう評価されているのかは、気になるところですね。
花野 直樹(はなの・なおき)
花野 直樹(はなの・なおき)
北海道大学工学部4年
北大金融研究会の所属。ふだんはテクニカル分析を使った株式の短期トレードをしています。やるからには1位をとれるよう、頑張ります!

仮想通貨、諸外国の状況は?(明治大学 城正人さん)

   諸外国のキャッシュレス決済の普及状況について触れた前回。今週(9月19日週)は仮想通貨決済の普及状況に焦点を当てていきます。

   まず、普及状況の実体験に入る前に今後の普及にも影響するであろうニュースが今週飛び込んできました。「米コロラド州でpaypalを通じ、ビットコインを用いて納税することが可能に」というもの。税金の納付がビットコインで可能になるとは驚きです。

   どんどん利用できる場面が増加していることを踏まえたうえで、世界の実態はどのようなものなのでしょうか。渡航前は米ニューヨークでは市長が給与をビットコインで受け取るなど先進的なイメージがありました。実際のところどうなのか。本当に決済に利用できるのか、かなりワクワクしておりました。

   結果からいうと、ニューヨーク滞在中ビットコイン決済を行うことは叶いませんでした。日本では少額決済であれば、ビットコインを家電量販店(ビックカメラ)で決済に利用することが可能ですが、より先進的であると考えていたニューヨークですらその状況。

   また、友人によるとMIT(マサチューセッツ工科大学)周辺では唯一決済に利用できる場面を見かけたものの、ヨーロッパ諸国やオーストラリアではほとんど見かけなかったとのこと。少々残念な気もしますが、今後の普及に期待といったところでしょうか。

   じつは、仮想通貨は無視されているのか――。諸外国で仮想通貨による決済がほとんど利用されていなかったことは前述のとおりですが、無視されているのかというとそんなわけではまったくありません。

   コンビニエンスストアにはLibertyXという現金からビットコインへの交換が可能なATMが設置してありましたし、現地企業も興味を持って対応しているようでした。

   たとえば、日本では暗号資産関連への投資を行っているファンドは数が限られる一方、米国においてはweb3関連の事業を行っている企業などに投資をすることは一般的になりつつあるよう。決済手段というよりも、一つの資産として取り扱われていたように感じます。

◆ まとめ

   今週は世界各国の仮想通貨の状況について取り上げてきました。想定していたよりも決済手段としての利用は少ないものの、投資の観点からはかなり積極的に活用されていることが学びでした。

   確かに決済手段として使うには遅い、大量の決済に耐えられないなどの問題があるという点が大きいと考えます。

   ようやく始まったETH(イーサリアム)2.0が、この現状に対して、どう風穴を開けるのかを注目していきたいですね。

◆ 今週の取引

   なし

保有資産
ビットコイン 0.0001枚 現在1枚当たり272万4025円 評価額は2724円
保有現金 7010円

前週からの損益    マイナス82円
9月23日現在        9734円

◆ 池田昇太のワンポイントアドバイス
ビットコインで納税が可能になるというニュースは、たしかに驚きですね。
仮想通貨を決済手段として用いられるところは多くない一方で、ビットコインを納税手段とされたところを見ると、コロラド州は「ビットコインを資産として持っておきたい」という想いがあると考えられそうです。また、仮想通貨の決済については、少しずつ進んでいく可能性は高いと思われます。実際にエルサルバドルがビットコインを普及させる際に、「Flexa」という決済業者のライトニングネットワークのサービスを利用していました。
今後、似たような決済業者やサービスが増えれば、ビットコインの少額決済も可能になると考えられます。
城 正人(じょう・まさと)
城 正人(じょう・まさと)
明治大学経営学部
2021年に引き続き、出場します! 投資対象として仮想通貨に興味を持つも、その技術の持つポテンシャルに惹かれDapp開発に着手。投資家としてだけでなく、開発者としての視点からの投資戦略も立てていきます!
Twitter: https://twitter.com/dennoah_jo

◆ 取引はお休みしました(東京大学 迫嵩明さん)

前週からの損益    プラス・マイナスゼロ
9月23日現在              1万円

迫 嵩明(さこ・たかあき)
迫 嵩明(さこ・たかあき)
東京大学文科二類2年
学生投資連合USIC代表
高校3年生の時に株式投資のおもしろさに目覚める。日本株、米国株、仮想通貨投資を行う。長期的に伸びる市場でビジネスを展開している企業に長期投資することをモットーとしており、テンバガーを虎視眈々と狙っている。 金融を学ぶ「おもしろさ」、投資を始める「意義」を多くの人に知ってほしいと切に願う。
学生投資連合USIC:https://www.usic2008.org/

◆ ◆ アドバイザーのプロフィール

池田昇太(いけだ・しょうた)
池田昇太(いけだ・しょうた)
池田昇太(いけだ・しょうた)
フリーランスのWebディレクター。金融系メディアを対象に執筆やディレクター業務に従事。投資歴7年。FXと仮想通貨をメインにトレードしています。ファンダメンタル分析よりかはテクニカル分析を好む。最近はNFT(非代替性トークン)の詐欺事例、法的問題について関心あり。
大学対抗戦「暗号資産バトル」競技ルール
・元本は1万円。
・通貨の選定は自由。ただし、国内の事業者で買える暗号資産に限定。
・レバレッジはかけられません。
・20%を超えて下げた場合は、強制的に取引を停止(ロスカット)とする。
・元本割れは1回まで。2回、資産を失った場合は、その時点でリタイアとする。
・運用期間は6か月。最終週時点での資産増減額で順位を決める。

学生投資連合USIC 「学生の金融リテラシー向上」を理念に全国26大学1000人以上で構成。企業団体・官公庁との勉強会の開催、IRコンテストの運営、金融情報誌「SPOCK」を発行する。
http://usic2008.com/